訴訟の大まかな流れを知ろう

訴訟を提起すると、原則として訴え提起の日から30日以内に1回目の期日(第1回口頭弁論期日)が指定されます。

期日が決まると、裁判所から、相手方(被告)にも訴状、証拠などが送られます。そうすると、通常、事前に被告から「答弁書」という書面が送られてきます。

被告にも弁護士が付く場合、答弁書は、具体的な事実について踏み込んでいない形式的なものであることが多いです。これは、原告は十分準備をして訴状を作成して訴訟に臨みますが、被告としては、訴状を受け取ってから第1回目の期日まで時間がないことも多いからです。

この場合、被告は、次の期日までに「準備書面」を提出し、この中で、原告の主張のうちの認める部分と認めない部分をはっきりさせ、さらに自分の主張、反論を具体的に記載していきます。

そして、さらにその次の期日までに、原告も、準備書面を提出し、被告の主張のうちの認める部分と認めない部分をはっきりさせ、さらに自分の主張、反論を記載する…。適宜(てきぎ)、証拠も提出しながら、こうして主張、反論が繰り返されるわけです。

そして、書面によるお互いの主張や立証がもう尽くされたという段階になると、当事者や証人の尋問手続が行われます。それが終わると、それまでの裁判の経過を踏まえた上での主張をまとめた最終準備書面を提出し、判決という流れになります(ただし、この過程のどこかで和解が試みられることが少なくありません)。

離婚裁判の場合、2回目以降は、公開の法廷での手続ではなく、非公開の小部屋で行われる弁論準備手続になることが多いです。

ちなみに、民事の裁判では、答弁書を提出もせずに欠席すると、訴状での原告の主張を被告が認めたという扱いになり、原告の勝訴となるのですが、離婚裁判ではこの扱いにはなりません。

裁判の期日は、だいたいひと月に1回くらいずつ行われます。次回の期日を決める際、裁判官が「いつ頃にしますか?」と聞いたとき、弁護士が「通常通りで」と答えることがよくありますが、「通常通り」というと1ヶ月後くらいということになります。ひと月に1回ペースの主張反論が繰り返されるため、裁判は長丁場になります。

※本記事は、本書が発売された2016年6月当時の内容です。その後、あらたな判例が出たり、民放の改正あるいは修正協議がなされていたりする可能性もありますので、実際に離婚で悩んでいる方は、著者の吉成安友弁護士など法律家に相談してください。