もはや女性が耐える時代ではない。不幸な結婚生活、抑圧された結婚生活にくたびれてしまうなら、別れの道を選ぶのも手。 離婚問題を知り尽くした現場最前線の弁護士が「くたびれない」ための離婚の知識とノウハウを伝授します。まず、離婚にも種類があることを押さえておきましょう。あなたはどれが良さそうですか?

※本記事は、吉成安友:著『くたびれない離婚』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。

離婚には3パターンあります

離婚そのものや離婚の諸条件を決めて離婚に至るための手続としては、主として、「協議離婚」、「調停離婚」、「裁判離婚」の3種類があります。この他に「審判離婚」という手続もありますが、これはほとんど用いられません。

協議離婚は、お互い話し合って離婚することを決め、両者が署名捺印した離婚届を提出すれば離婚成立となるものです。

調停離婚は、裁判所で話し合いを行い、離婚及びその他の条件について話がまとまれば、調停調書が作成され、離婚が成立するというものです。

裁判離婚は、家庭裁判所に訴えを提起し、離婚原因の存在を主張・立証し、離婚原因があると認められれば、判決の確定により離婚が成立するというものです。また、裁判中に和解をして離婚成立となる場合もあります。以下では、それぞれについて少し詳しめに説明していきましょう。

①協議離婚

協議離婚とは、文字通り、“協議”、すなわち話し合いをして離婚するものです。話し合いの結果、お互いに離婚をしようと合意に至れば、離婚届1枚を市区町村役場に提出するだけで、離婚成立です。

協議の方法には、何も決まりはありませんので、当事者だけで話し合っても、第三者を入れても構いません。当事者同士で話しても埒(らち)があかないような場合には、弁護士を代理人に立てることもあります。

離婚協議書を作るかどうかも当事者次第。協議離婚は一番簡単で早い方法です。

離婚届は、夫婦の本籍地だけでなく、届出をする夫や妻の「所在地」で出せます。「所在地」は、住んでいるところだけでなく、旅先などの一時滞在先でも大丈夫です。つまり、基本的にはどこでも出せるということになります。

ただし、本籍地以外で出す場合には、戸籍謄本が必要です。逆に言えば、本籍地で出す場合には戸籍謄本はいらず、離婚届1枚持って行けば良いということになります。

離婚届には、婚姻届の場合と同様、成人2名の証人に署名をしてもらうことが必要となります。また、お子さんがいる場合には、どちらが親権者になるかを決めて、記載する必要があります。離婚をすること自体はお互いに納得していても、どちらが親権者になるかの話がつかないと離婚届が出せません。

ちなみに、離婚届の署名は、自分自身で書く必要があります。例えば、夫婦間で合意ができていても、代書はできません。夫「俺の署名のところも、書いといて」、妻「分かった。私が書いて出しとく」なんてことは認められないわけです。

ただ、そうは言っても、役所の窓口で代書に気付かれず、受理されてしまうこともありえます。そんな場合に離婚が無効になる…というわけではなく、最高裁は、離婚届が受理されてしまった場合は、有効と判断しています。これを最高裁まで争ったというのもなんだかすごい話ですが…。

ときどき質問を受けるのが「昔夫が浮気をしたときに、今度浮気したら提出すると、離婚届にサインをさせておいたものがあるが、出して良いのか」というもの。しかし、離婚届を出す際には、その時点で夫も離婚する意思があることが必要です。したがって、以前サインさせた離婚届を勝手に出すことはできません。