年の瀬となる今だから振り返りたい2022年の思い出。ニュースクランチに登場していただいた方たちに2022年のベストブック、もしくはベストムービーを紹介してもらう「2022 My Best」。

『人怖2 人間の深淵なる闇に触れた瞬間』(竹書房:刊)が好評発売中、ルポライターの村田らむさんに今年のベストブックを3冊選んでいただきました。

『キツネ潰し 誰も覚えていない、奇妙で残酷で間抜けなスポーツ』エドワード・ブルック=ヒッチング(著) / 片山美佳子(訳)

『キツネ潰し』は紳士淑女がキツネやさまざまな動物を天高く放り投げて殺すスポーツだ。その他にも『クマいじめ』『野鳥たたき』『猫焼き』『カモいじめ』など消えたスポーツを紹介している。

もちろん動物を傷つけるスポーツ以外も紹介されているが、多くは過度に残酷なものが多い。今ならコンプライアンス的にダメ! だが、ちょっと見てみたい。現在では平和の象徴みたいにもてはやされてるスポーツの本質が見える気がする。

『ひどい民話を語る会』京極夏彦 / 多田克己 / 村上健司 / 黒史郎

本の表紙には、なんとも言えない表情の犬が描かれている。これは京極夏彦さんが紹介する『犬婿入』という民話からのイラスト。

「娘を嫁にもらいたかったら人糞を食え」と言われたときの犬の表情である。思わず大爆笑してしまった。本書では、大便や屁など小学生が喜びそうな下品なネタの民話がたくさん紹介されている。で、めちゃくちゃ面白い。昔の人も馬鹿なこと考えてたんだなーと思うと、ちょっと呆れるが、強い親近感を持った。

『映画の正体 続編の法則』押井守

▲立東舎

『押井守の映画50年50本』の続編。続編監督を自認する押井守監督が、続編本で、続編映画を紹介するという続編づくしの一冊。ゴジラ、007など人気シリーズ、スピルバーグ、キャメロンなど人気監督の続編を取り上げる。

押井監督ならではの「宮崎駿監督に言いたい放題!」は本書でも健在。押井監督の本はとにかく目から鱗が落ちる。納得できるというか説得されるというか。思わずパクってどこかで披露したくなっちゃうのが問題だ。


プロフィール
 
村田 らむ(むらた・らむ)
ライター、イラストレーター、漫画家です。 最新の著作は 『人怖 2 人間の深淵なる闇に触れた瞬間』『人怖』(竹書房) 『非会社員の知られざる稼ぎ方』(光文社) 『禁断の現場に行ってきた』『こじき大百科』『ホームレス消滅』『ゴミ屋敷奮闘記』『樹海考』丸山ゴンザレスさんとの共著『危険地帯潜入調査報告書』など。Twitter:@rumrumrumrum