よい夢を味わうことは心と体の癒しになる
夢のなかでは、起きているあいだに「うまく整理できなかった情報や感情」を整理し、カテゴリー分けしているのですが、このとき古い記憶のなかから同じカテゴリーに類する情報がたまたま引き出され、「なぜこんな人が(物が)?」と思う人や物が夢に出てくることがあります。
意外な人が夢に出てくると、深層心理では「自分はその人が好きなのかと思った」といったような話も聞きますが、実際のところは、単純に処理したい情報と「名前の音韻が似ている」「同じ世代や年代」などの理由で、たまたま夢に出てきたにすぎない可能性があります。
または「謝りたかった」「認めてほしいのに認めてもらえない」など、同じ感情のカテゴリーに入っていたことで、まったく予期しない人が出てきたとも考えられます。
夢に出てきた人を好きになってしまったというのは、夢を誤って解釈した結果といえるでしょうか。夢にみた情報をその人がどうとらえるかには個性があり、夢と現実を考えるうえでおもしろいところです。
夢の内容に記憶が取り込まれる場合にはタイムラグがあり、体験当日や翌日に夢に出てくるだけではなく、6~7日目に遅れて出てくることもあります。基本的にはそのときに体験したイベント、記憶(入力された刺激)、懸案の事項や未解決の課題が夢にでてくることが多いです。
考えまいと意識することで、逆に夢に出てくることも指摘されています。リバウンド効果といえましょう。みた夢を「予兆的な夢」ととらえることは、不安をかきたてます。悪い夢を予兆ととらえてネガティブな自己成就をおこさないようにするのがポイントです。
夢でみた景色にうっとりしたり、楽しみにしていたものに出会えたり、触れ合えて感動したり、現実にはありえないことを体験できた――などは、ぜひみたい夢です。一般的に「いい夢」は、楽しい、うれしい、安堵した……などなど、感情に着目するといいでしょう。
普段の生活のなかで、せめて時間に余裕のある朝などに、よい夢をみて目覚めたらすぐに起きあがらず、もう一度まどろんでその夢の世界に心地よく浸ってみてください。こうしてよい夢を味わうことは、心と体を癒す眠りのセルフケアになるはずです。