「いつも十分な睡眠をとれている」と豪語できるビジネスマンは少ないはず……。ところが免疫力アップに欠かせないのが“質の良い”睡眠。良質な睡眠は心と体の疲れをとり、さまざまなホルモンの分泌を促すことで、免疫を活性化させる役割がある。そこで名医・今津嘉宏先生に、良質な睡眠をとるための「5つの条件」を紹介してもらった。

※本記事は、今津嘉宏:著『最強の免疫力』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

毎日7~8時間睡眠で風邪予防!

みなさんは、1日のうち1/4~1/3もの間、眠っています。

この睡眠が、いかに風邪と関係が深いかをお話ししましょう。

まずは2003年に報告された名古屋工業大学保健管理センターの研究結果からご紹介します。学生4,397名にアンケートを行い、睡眠と風邪との関係を調べました。これによると、睡眠時間が短いほど、風邪を引きやすく、1年間に5回以上風邪を引く人は、睡眠時間が6時間以下の人、そしてさらに10時間以上の睡眠を取っている人に多いということが分かったのです。

この結果は、多くのことを教えてくれます。睡眠は、わたしたちの体の状態を調節する役割をしています。その睡眠時間は、少なくても、多すぎてもだめなのです。つまり、風邪を引かないようにするためには、毎日の生活のなかで、睡眠を7~8時間取ることを習慣づけることが、大切だということです。

次にご紹介するのが、シャルドン・コーエン博士の研究です。彼は、21歳から55歳までの健康な男女153人に集まってもらい、睡眠の状態とライノウイルスによる風邪の関係を調べました。ライノウイルスを入れた点鼻薬を使って、ライノウイルスによる風邪にかかるかどうかを14日間にわたり調査したのです。

その結果、良い睡眠を取っていないと風邪にかかる危険性が3.9倍にもなることが分かりました。

さらに、この研究から分かったことは「良い睡眠」とは、睡眠時間が長ければいいというものでもなく、大切になってくるのは、睡眠の「質の良さ」だということです。

では、質の良い睡眠とは、どんな睡眠でしょうか?

それは、まるで死んだように寝ている睡眠のことです。少しぐらい音がしても起きず、ぐっすりと深い眠りに落ち、起きたときはすっかり疲れが取れている睡眠です。

逆に、悪い睡眠とは、ちょっとした音で目が覚めてしまったり、夢を見たりして、起きたときに疲れてしまっているような睡眠を指します。

それでは、どうしたら質の良い深い睡眠になるのでしょうか。