年の瀬となる今だから振り返りたい2022年の思い出。ニュースクランチに登場していただいた方たちに2022年のベストブック、もしくはベストムービーを紹介してもらう「2022 My Best」。
バンド「トリプルファイヤー」の吉田靖直氏に、今年のベストブックを3冊選んでいただきました。
『雨滴は続く / 西村賢太』
昔はただ純粋に本が好きで読んでいたのに、いつの間にか「ネットを見ているより、本を読んだほうが実りがあるだろう」的な発想で、本を読むことが多くなってしまい寂しい。
そんななかで、西村賢太は作品が“ただ面白いから”ずっと読んでしまう、現在の私にとっては数少ない作家だった。彼にとって最後の作品は分厚くてかなり長いが、最後まで読まないといけない義務感を抱くこともなく、たまに爆笑しながら読了した。もう新作が読めないのが残念だ。
『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論 / 千葉 雅也,山内 朋樹,読書猿,瀬下 翔太』
千葉雅也が好きなので、執筆仕事の参考にさせてもらおうと思い読んだ。頭が良く、たくさん本を出している人たちも、スラスラ文字を書いているわけではなく、悩みながら捻り出して書いていることに安心したが、自分はたいして悩みもせず、文章を適当に書きすぎているのではないかと不安にもなった。
保坂和志『書きあぐねている人のためのための小説入門』など執筆論の本を何冊も読んだ。そのときはテンションが上がるが、今のところあんまり自分の書くものに反映できていない。
『39歳の免許合宿 - ストーリーは自分(てめぇ)で創れ - / ごめたん』
去年の春、この本に登場するimaiさん(ミュージシャン)から、今度免許合宿に行く予定だと聞いた。その数ヶ月後に私も一人で免許合宿に行って宿泊所で暇を持て余しているとき、この漫画がSNSで流れてきて、あまりにタイムリーな状況に驚いた。
まだ免許を持っていない人は、これから免許合宿に行くチャンスがあるぶん、幸運かもしれない。できれば友達と一緒に行ったほうが楽しいと思う。一人で合宿に行っても、特に楽しいことは起こらない可能性が高いが、大人になってから忘れていたような感情をいくつか経験できた。
〇トリプルファイヤー吉田の34歳の免許合宿