桃乃木かなから学んだこと

ここまで話を聞いて、彼女のブレないスタイルが気になった。

「まず、精神的なことでいうと、最初のほうでも話した桃乃木かなちゃんですね。私、SNSとかを投稿する前は、“桃ちゃん、こういうこと言うかな?”って考えてからツイートしてます。桃ちゃんが言わなそうなことは絶対に言わない。正直、ちょっとイラッとするリプとか、根も葉もないことを言われたりするんですけど、“桃ちゃんは言わないよな”と思って我慢してます。

それから表現についてでいうと、食べること以外に胸を張って好きと言えることが、映画とストリップなんです。特にストリップは、よく1人で見に行くんですけど、美術館に行くような感覚で行ってるんです。美しいな、このアートに勝てないなって落ち込んだこともあるくらい。でも、このアートに勝たないといけないなって思いで描いてます」

以前、油絵を専門に描いている画家の方に、今後の目標について聞くと「立体を作りたい」と言っていたのを思い出した。新チトセは、ストリップを立体芸術として見ているのではないだろうか。

「それはあると思います。たしかに、美大でも油絵をやってる子が最終的に立体に行き着くことがありました。私の中で、インスタレーションとか、彫刻を見に行くのと同じ感覚なんですよね、ストリップを見に行くことは」

ちなみに、推しの方はいるのか聞いてみると。

「言っていいんですか? 真白希実さんですね。演目も語れるくらい好きです」

映画は園子温監督作が好きだと語る。

「『愛のむきだし』とか『恋の罪』とか。女性に限らず、性表現を言い訳なくやっている作品に興味を惹かれるのかもしれません。大学の制作もそういうテーマのものをやってました。私としては、有名なアイドルもAV女優の方も、ストリッパーの方も全員同じで、全部憧れ、アイドルとして見ているんです。造形として美しいもの、として捉えています。可愛い人、みんな好きなんです(笑)」

▲コンカフェでも働く新チトセ

彼女が働いているコンセプトカフェも、そういう彼女の“可愛いものが好き”という思いから入店したいきさつがある。

「バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIというアイドルグループの大桃子サンライズ、ちゃんもも◎さんが好きで、私オタクだったので、そのちゃんもも◎さんがコンカフェをプロデュースするって聞いて、応募した感じです。すごく楽しいですね、働いている子が全員ちゃんもものオタクだから、全然ギスギスしてない(笑)。

もともと、お話するのが好きで、特にラーメンの話をするのが大好きなんです。だから、コンカフェだったらもっとラーメン好きの人と交流できると思って。お客さん同士も仲良くなって、すごくうれしいですね」

ミスiDに出たのも、ちゃんもも◎に感化されたから。

「それまでは、私と真逆だなと思ってたんです。自分を出していかないと勝ち残れない世界だし、それまでは内面を出すことをしなかったので。でも、ミスiDに応募して、自分のパーソナルな部分とか、考えを明かすようになったら、周りの人からも“チトセちゃんってアイドルに向いてるね”って言われて。

私、いつも絵を見てほしかったから、今まではアイドル活動のように自分を全面に出すことをあえてしていなかったんですけど、アーティストとして活動していくうえでは、自分も含めてアートなんだという、定義を再確認しました」

他人から言われた言葉で、感銘を受けた言葉はあるのだろうか?

「うーん、他人から言われたことじゃないんですけど、“ラーメンとお酒を飲んだ日は1ミリも痩せない”っていうのはずっと忘れずにいますね(笑)。やはり、私は桃ちゃんを見てるので、あんなに二郎を食べて、あのスタイルを保ってるのが本当にすごいから、目指すだけでも目指してみようと。だから、よく歩くようにしています」

そんな彼女には目標がある。

「まず、何にでも興味を持って、いろいろな表現をしたいですね。絵も、ラーメンに限らず、興味を持ったものは描いていきたい。あと、私の文章にニーズがあるかはわからないけど、ラーメン二郎全店に行ったことがある方は一般的には多くないと思うので、文章表現でも説得力を出せたらいいなぁと思いますね。

それから“うさぎの皮を被ったネコ”という、私が作ったキャラがあるんですけど、そのグッズをヴィレッジヴァンガードとかに展開したい! もちろん、ヴィレヴァン以外にも展開したいんですけど、特にヴィレヴァンにすごい憧れがあって、入り浸っていたので。でも、ぜーんぜんフォロワーが増えないんです…(笑)」

▲“うさぎの皮を被ったネコ”のグッズはオンラインや西荻窪の天狗湯で販売中

そう笑う彼女。脂絵についての活動について聞くと……。

「ラーメンは、二郎に限らず満遍なく食べてるんですけど、正直、これまでは絵のモチーフとしては二郎に心奪われすぎていたので、ほかのラーメンも描いていけたらって思います。あとは、脂絵がラヲタ定番のプレゼントになってほしいな! と願ってるんです。

実際に、塩生姜らー麺専門店MANNISH 神田西口店さんや、中華そばイデタさんのファンの方が依頼してくださったんですが、ラーメン屋さんのファンの方が脂絵をラーメン屋さんにプレゼントする、というのが広まってほしいなって思ってます」

▲塩生姜らー麺専門店MANNISH 神田西口店

プロフィール
 
新 チトセ(しん・ちとせ)
アーティスト、画家、イラストレーター。年間100杯以上のラーメンを食べながら、ラーメンの絵を専門に描くラーメン画家として活動している。Twitter:@Chitose_shin