『アメトーーク!』出演でブレイクなるか?
「TAIGAって何者だ?」
そして「TAIGAナイト」という、まさかの企画が通ってしまう。俺のことだけを取り上げる30分になるらしいと聞いて、俺は身震いした。いや、緊張で手足が震えてきた。
その緊張がスタッフに伝わったのだろうか。俺だけでは不安だと速攻でバレたらしく、助っ人としてカズレーザーが呼ばれた。
本番では、芸能界屈指の実力者であるオードリーとカズレーザーが俺のことをイジリ倒して、スタジオは大爆笑に包まれた。これだけのメンツを揃えてスベるはずもないのだが。
あまりの盛り上がりに、TAIGAナイトは当初2週の予定が3週連続で放送されることが決まった。そりゃそうだ。収録中は最初からずっと大爆笑の連続だったのだから。
ぺこぱが金スマ出演にゲストで呼ばれた際、再現VTRに「TAIGAさん本人役」で出演したのもこの頃だ。人気番組に立て続けに出たおかげで、俺のTwitterフォロワーは激増したし、Twitterのトレンドにも入った。
テレビ朝日の大人気番組『アメトーーク!』で、「40歳過ぎてバイトやめられない芸人」に出たのはこの直後だった。
40歳を過ぎてバイトやめられない。つまり、売れてない芸人が集まってトークする。そんな企画で視聴率は大丈夫なのだろうか? オーディションは気楽なものだった。なんせ毎日汗水垂らして働いている仕事について話すだけなのだから。
そして忘れもしない2020年の11月20日。この日は俺の誕生日だった。ウーバーイーツの配達から帰宅して、保育園に子供を迎えに行こうとしたら、カメラを持った男性が俺に近づいてきた。
「アメトーークです。TAIGAさん出演決まりました」
俺は間髪入れずに絶叫した。
「ヨッシャー!」
スタッフに促されて、保育園に子供を迎えに行ってから、アメトーーク出演が決まったことを嫁に伝えることになった。
「すごーい!」
最初は無邪気に喜んでいた嫁だが、「今のお気持ちは?」と言われたら突然、笑顔が崩れた。そして、俺が芸人を辞めそうだったときのことや、自信をなくしているときのことを思い出したのだろう。嫁の頬をいくつも涙がつたう。
これまで本当に苦労させてきた。だから、嬉し涙を流してくれるような報告をできたことが、とても幸せだった。
人気番組に出れることは、大きな夢の一つを叶えた気がした。ただ、そこは決してゴールではなかったことを思い知るのだが。
こうして話はエピソード0に戻る。この連載はまだまだ続くようだ。
(構成:キンマサタカ)