自分のキャッチコピーは「路上の詩人」

――このアルバムには“路上の詩人”って歌詞が2曲に出てきますよね、それこそ、前にやられていたイベントも「路上の詩人いらっしゃい」でした。

高橋 あったね(笑)。先輩(どついたるねん)と靖直(吉田靖直・トリプルファイヤー)を呼んで。

――翔さんって言葉を大事にされているから、特に同じアルバムで同じ歌詞が登場することに抵抗があるんじゃないかって邪推してて。それでも、この“路上の詩人”って言葉が出てくるんで、何かこの言葉に特別な思いがあるのかなって。例えば、自分を指した言葉なのか、誰が別の人を指した言葉なのか。

高橋 大森靖子さんが自らを「スラムのシンガソングライター」と称していたのがやたら刺さって、古舘さんが猪木さんを「過激なセンチメンタリズム」と表現したのもかっこいい。そんな感じで、自分のキャッチコピーは「路上の詩人」にします(笑)。

――路上で飲むのも好きですしね。

高橋 そうだね(笑)。あとは、幽霊やゴーストってのも自分の中にはある言葉ですね。路上の詩人とゴーストって言葉が、ずっと自分の中にある言葉かもしれない。

――昆虫キッズの現時点での最後のアルバムが『BLUE GHOST』ですが、あのアルバムを出した当時と今では、ご自身の中で変化ってありますか?

高橋 うーん、どうなんでしょう。ただ、昔とはフラストレーションや怒りの質感が変わってきているし、満たされているか否かの器も変わっていると思います。その器がコーヒーカップだったり、バケツだったり、昔は日々変わってたし、それがカタルシスなんじゃないかなって。

それこそ、20代はカタルシスの連続だったんですよね。24時間365日、そこに注ぎ込んでたから。でも今は音楽も人も、いい意味で適切な距離のとり方がわかったような気がしてます。だから、イメージとしては、自分は動かず、街並みを眺めて、その視界に入る変わっていく風景を描写しているような感じ。

――ご自身が場所みたいな?

高橋 そうですね。自分が定点で、人が過ぎ去っていくような感覚。今回のアルバムでいうと、「野生のロボット」なんかはちょっと前からある曲なんですけど、このアルバムに入っても違和感のない曲だなって思います。

――今回は演奏もほぼ一人でやられたとのことで、単純に大変だったんじゃないかと思うのですが。

高橋 それこそ、ジャッジは大変でしたね。自分がやったことの良い・悪いの判断を自分でしないといけないので、かなりメンタルは鍛えられたなと思ってます。でも、これまでベースやドラムにここまで向き合った経験はなかったので、面白かったし、貴重でしたね。まあ、同じスタイルでまたやりたいかって言うと、素直に“はい”とはいえないんですけど…(笑)。

――(笑)

高橋 でも、これで“ソロミュージシャンとして堂々とやっていくぞ”という気持ちは固まりましたね。

――ライブもやられるんですよね。

高橋 そうですね。ソロと言いつつもバンドでレコ発をやるんですが、めちゃくちゃ楽しいです(笑)。いいメンバーでやれてると思いますので、ライブに来てほしいですね。

――去年はL'Arc〜en〜Cielの記事を書いていただきましたが、最近いいなと思ったアルバムはありますか?

高橋 ザ・クロマニヨンズの新しいアルバムを買って、最高でしたね。まず、タイトルが『MOUNTAIN BANANA』最高じゃないですか。その流れでブルーハーツとかオアシスとか聞いてましたね。狭いスタジオでコツコツやっていたので、なんだか壮大なものが聴きたくなたのかもね(笑)。

ミュージシャンに聞く「こだわりメシ」

インタビューの最後に、ミュージシャンが普段どんな「メシ」を食べているのか、ニュースクランチの編集部員が個人的な趣味で聞いてみるミニ企画。高橋翔さんの「こだわりメシ」とは?

――ライブ前に必ず食べるものとか、いまハマっているものとか、翔さんの「こだわりメシ」を教えてください。

高橋 もりそば並。そばうどんチェーン店ならどこでも問題なし。立ち食いだとなお良し。2分でサクっと食べ切って、ほどよくエネルギー充填します。

――昔からもりそばだったんですか?

高橋 昔は、春菊天そば(温)。もりそばに変わった理由は、トッピングを削ぎ落とすことにより、そばと向かい合えることに気づいたから。

――高橋さんはファミレスについても造詣が深い印象があります。好きなファミレスは?

高橋 ロイホ一択ですね。こんな俺でも……いいかい? という忍びさなさや、引け目を感じるファミレス界のサンクチュアリ。接客も料理も最大限の矜持を感じるところが好きです。


▲「高橋翔&summer eye"スーパーウルトラライブ2023"」
<ライブ情報>
「高橋翔&summer eye"スーパーウルトラライブ2023"」
2023年5月2日(火)
下北沢LIVE HAUS
開場18:30  開演19:00
出演:高橋翔(BAND SET)、summer eye
前売り3,300yen 当日3,800yen (共に+1Drink)
電子チケット予約購入:https://officesho.stores.jp/
プロフィール
 
高橋 翔 / Sho Takahashi
9月11日生まれ、神奈川県出身。2007年頃、昆虫キッズ結成。2009年3月、”my final fantasy"にてデビュー。2015年1月の活動終了まで4枚のフルアルバム、5枚のシングル、1枚のミニアルバムを発表する。2021年12月、個人事務所兼音楽レーベル「オフィス翔」設立。2022年1月ソロデビューシングル「キセキ」配信スタート。同年2月「夢の隠れ家」配信スタート。2023年1月18日ファーストアルバム「イシュ」発売。Twitter:@shotakahashi、公式サイト:OFFICE SHO
〇KISEKI - Sho Takahashi (Music Video)