お客様に支えられたコロナ禍。今こそお返しがしたい

――舞台の前にニューアルバムのリリースもありますね。『VARIOUS』というタイトル通り、ご自身が親交のあるミュージシャンに楽曲制作を依頼した新曲から、J-POPのカバー曲、ミュージカルの名曲まで、浦井さんのさまざまな歌声が堪能できる贅沢な1枚になっていますね。

浦井 とにかく今回は、元気になってもらえるアルバムを目指しました。もともと自分はSOPHIAの大ファンなので、『バナナココナッツセット』という曲で松岡充さんから楽曲提供をしてもらう、という夢が叶ってとてもうれしいです。それから、植村花菜さんと一緒に歌詞を作った『キャッチボール』という曲は、父親へのメッセージを込めることができて思い入れのある曲になりました。

ミュージカルの楽曲では、望海風斗さんが「エリザベート」のトート閣下として降臨してくださった『闇が広がる duet with 望海風斗』も入っていますし、それ以外のJ-POPのカバー曲やオリジナルの楽曲も含めて、本当にバリエーション豊かなアルバムになりました。それを引っさげてライブができるのもすごく幸せです。

 

――5月からのコンサートに込める想いは?

浦井 1人でも多く、見てくれた人が元気になるライブができたらなと思っています。

――人を元気にしたいと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

浦井 コロナ禍に出したセカンド・アルバムの『Piece』(2021年)には、未来への希望や平和を望む「願い」をテーマとして込めさせてもらったんです。そこからまた少し時が経って今、2023年になって転換期を迎えていると思うんです。そういう時期に、より未来を目指して、元気で前を向いて生きたいですね、ということを伝えられたらいいなと思ったんです。

――コロナ禍があったからこそ、そういうテーマになったと。

浦井 もちろん公演中止も経験しましたけど、ありがたいことに常に舞台の上に立たせてもらって、お仕事をさせていただいていた3年間ではありました。これからマスクの規制が緩和されたりと、いろいろ変わっていくと思うなかで、お客様のエンタメへの愛をすごく感じたんです。

それは普通に、当たり前のように上演をしていたら、たぶん気づかなかったことだろうなと。それは自分にとって大きな気づきでした。自分自身も日々、舞台が上演されることが当たり前に感じていましたが、それが当たり前じゃなくなったとき、いかにお客様が支えてくださっていたのかがわかりました。

楽しみにお待ちいただいていた公演が中止になるというニュースが日々飛び交うなかで、「待ってるからね」というメッセージが伝わってきました。こういう状況でも劇場に足を運んでくださる人がいる、ということ自体がエンタメ界へのエールのように思えて、僕にとってお客様のありがたさ、すごさ、愛情を感じた3年間でした。

――それで「みんなを元気にしたい、明るいパワーを届けたい」という気持ちになったんですね。

浦井 はい。

 

――皆さんリリースを楽しみにしていると思います! 浦井さんがお気に入りの1曲はどれですか?

浦井 まずは『バナナココナッツセット』です。松岡さんがオリジナルの楽曲を作ってくださっただけじゃなく、レコーディングブースでは1対1でディレクションもしてくださったんです。さらにはMVにまで出てくれた。ホントに夢を叶えてもらえた1曲になりました。あとは、父へのメッセージを込めた『キャッチボール』という曲を、母が喜んでくれたのもうれしかったです。

――コンサートでも披露しますか?

浦井 そうですね。ニューアルバムからもいろいろとお聴かせしたいです。もちろん、1stや2ndアルバムからの曲も歌いたいですし、ほかのミュージカルの楽曲も歌えたらいいなと思っていますので、楽しみにしていてください!