新生活をキッカケに自分を変える! そう決意して運動やダイエットに励む人もいるかもしれませんが、人気ボディワーカーの森拓郎氏によると「ダイエットで一番重要なのは、運動よりも“食べるクセ”を改善する生活訓練こそが大事」とのこと。ツラいイメージのある「食事制限」ではなく「食事改善」を始めましょう。

※本記事は、森拓郎:著『運動指導者が教える 食事10割でヤセる技術』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

生野菜サラダが揚げ物になっていませんか?

ヘルシーの代名詞といえば生野菜サラダ。ダイエッター御用達の人気フードのひとつです。

さて、皆さんは生野菜サラダをどうやって食べていますか? まさか、市販のドレッシングをかけたりしてはいないでしょうね。

市販のドレッシングの問題は、カロリーの高さだけではありません。材料に使われているのは、揚げ物によく利用される植物油。オメガ6を多く含む油は、体内に炎症を引き起こしたり、体脂肪の燃焼を阻害したりします、わざわざ余計に摂って利になることは何ひとつない油です。

緑黄色野菜が少なく、キャベツ・レタス・キュウリなど、いかにも栄養価が低そうな野菜に、オメガ6満載の揚げ物油をどっさりかけたら……。もはや「食物繊維が摂れました」というメリットくらいしかありません。

▲生野菜サラダが揚げ物になっていませんか? イメージ:オクケン / PIXTA

続いて、「ノンオイルドレッシングはヘルシーなのか」という疑問にも答えます。

「ドレッシングなのにノンオイルって、いったいどういうことなんだ?」と首をかしげたくなりますが、これは油を使わないかわりに“避けるべき糖質”と考える「果糖ブドウ糖液糖」が原材料に使われていることが少なくありません。

1グラムあたり9キロカロリーである油を、1グラムあたり4キロカロリーの糖質に代えられ、しかも普通のドレッシングよりカロリーを抑えることができるわけです。

しかし、その中身は「果糖ブドウ糖液糖ドレッシング=コーンシロップドレッシング」にすぎません。シロップをかけて栄養価の低い野菜サラダを食べても、ヘルシーとはいえないでしょう。

粗悪な油で作られた加工品のドレッシングなどかけなくても、オリーブオイルに精製されていない自然塩をかけるだけで、サラダは十分に美味しくいただけます。

オリーブオイルの利点は、オメガ9が多く含まれていること。オメガ9はタンパク質や糖質を使って体内で合成できるため、積極的に摂る必要はありませんが、酸化もしづらいため、オメガ6の代用として使うことができます。

選ぶべきは「マゴワヤサシイ」食品

ダイエットの句として使われているのが「食事制限」という言葉。我慢やツラさを連想させるイヤな響きです。

確かに、食事制限によって食べている食事を半分に減らせば、ヤセるのは当たり前です。しかし「空腹と戦いながら食べたいものを我慢し続ける」という“苦行”を、長い期間、皆さんが続けられるわけがありません。というより、ツライ努力をしないとヤセられないと思っている人が非常に多いのです。

『食事10割』でヤセるために必要なたったひとつのこと。それは「食事制限」ではなく「食事改善」です。

「食事改善」とは、普段食べている白米を玄米に変えたり、ハムやベーコンなどの加工品を質のよい肉や魚にしたり、摂る油の種類を変えるなど、悪いものから良いものに置き換えることをいいます。つまり、太りやすい食べ物から太りにくい食べ物へシフトさせていくのです。

「太りにくい食べ物? どう選んだらいいかイマイチよくわからない」という人。その食べ物の総カロリーに対し、どれだけ必要な栄養素が含まれているか、ということに着目してみてください。間違っても「低カロリー」という観点だけで食べ物を選ばないことです。

例えば、必須栄養素ではない炭水化物が成分のほとんどを占めるピザやカレー、オメガ6や飽和脂肪酸を多く含むポテトフライ。これらはカロリーの割には、ダイエットに必要なタンパク質やビタミン、ミネラルという栄養素が圧倒的に少ない食品であることがわかります。

また、低カロリーといわれる野菜も、栄養価の低いレタスやキュウリを食べるよりは、ニンジン・カボチャ・トマト・ブロッコリーなどの緑黄色野菜を選んだほうが、栄養価の面ではいいわけです。

わかりやすくいうと、3つのポイントが挙げられます。

  1. 炭水化物(糖質)が少ない
  2. 悪い油が入っていない
  3. ビタミン、ミネラルが豊富な食べ物

これらを参考に、食品を選んでみましょう。

▲選ぶべきは「マゴワヤサシイ」食品 イメージ:takeuchi masato / PIXTA

「太りにくい食べ物」のひとつの指標になるのが、「マゴワヤサシイ」食品です。「マゴワヤサシイ」とは、日本に昔からある食材を総称したものです。

マは豆類、ゴはゴマなどの種子類、ワはワカメなどの海藻類、ヤは緑黄色野菜、サは魚、シはシイタケなどのキノコ類、イがイモ類です。

豆類からは良質な植物性タンパク質。種子類や海藻類からはマグネシウム・カルシウム・亜鉛・鉄などのミネラルや、ビタミンも豊富に摂れます。さらに種子類からは良質な脂質も摂取できます。野菜のなかでも特に色の濃い緑黄色野菜は、ミネラルやビタミンの宝庫です。キノコは低カロリーでありながらビタミンが豊富。イモ類は炭水化物とはいえ、サツマイモ・サトイモ・山芋はカリウムやビタミンC、ベータカロチンや食物繊維が多く含まれています。

もちろん、「マゴワヤサシイ」だからといって安心して食べ過ぎれば太ります。しかし、これまで栄養のことを何も気にせず、高カロリーで栄養価の低い加工食品ばかりを食べていたという人であれば、ツライ食事制限など一切しなくても「マゴハヤサシイ」に改善していくだけで、数日で体がスッキリしてくるはずです。

あれもダメ、これもダメ! ではなく、あくまで適量にして頻度を減らす。逆に、食べるべきものの頻度を増やせば、これまで食べていた加工食品などを食べる量も減るばかりか、自然と前ほど欲しくなくなってくるのです。

早急に結果が出る方法ではありませんが、このような考え方をベースにもっていれば、リバウンドすることはまずありえません。