4人がグループで過ごした“かけがえのない時間”

解散の日が近づくにつれ、頭の中にはB.O.L.Tとの思い出が駆けめぐるようになってきた。

そもそものきっかけは約2年半前、NewsCrunch編集部からライブの取材依頼があったこと。 

いや、それだといささかニュアンスが異なる。実際には熱心なファンの方たちから、編集部に「B.O.L.Tの取材もしてください!」という猛アピールがあり、その熱意に打たれた編集部が記事の配信を決め、僕に取材のオファーを投げてくれたのだ。

何年か前、とあるイベントで「本当にアイドルを応援したいなら、雑誌のアンケートとかには積極的に答えたほうがいい。そこでの声は意外と反映されることがあるから」と話したことがある。

すると「この時代、もっと信用に値するデータはいくらでもある。いまどきアンケートのハガキなんて」と冷笑する方がいた。たしかにそうかも知れないが、応援の熱量や本気度や、たんなる数値のデータからは読み取れないし、その熱さを意気に感じてくれる編集者がいれば『読者の声』は、まだまだ届くのだ。

じっさい、それがきっかけで僕は2年半にも渡ってB.O.L.Tを追いかけるようになったのだから。

主要ライブにお邪魔してライブレポートを書く。CDリリースのタイミングに合わせてメンバーのインタビューをする、という二段構成がNewsCrunchでのB.O.L.Tの取材シフト。

すでにキングレコードからメジャーデビューも果たしていたので、リリースはコンスタントにあったため、取材をする機会も多かった。2022年に限っていえば、僕がもっともたくさん取材をしたアイドルグループはB.O.L.Tということになる。

最初はなんにも話せなかった小学生の白浜あやと青山菜花が、中学生になるとどんどん饒舌になっていって、最近では「お姉さんたちにもっと自分の時間を使ってほしい」とまで言うようになった。

ステージ上での成長とリンクしているから、あやなのインタビューの充実度は毎回、楽しみだった。正直、まだ完成形を見られたわけではないので、何年でも見続けたかった。

大人と小学生が同居している不思議なグループという印象は日々、薄れていき、最近ではチーム感が一層、際立つようになってきた。

おそらく同世代だけで結成されたグループだったら、あやなのはこういう育ち方をしなかったと思う。アイドルとして苦労を重ねてきた内藤るな、高井千帆と過ごした日々は、かけがえのない宝物になるはずだ。

そういう関係性が見えてきたので、直近の取材ではメンバーにカメラを持たせて、お互いを撮影してもらった。この企画は評判が高く、なによりもメンバーがすごく楽しそうだったから、組み合わせを変えてあと2回はやるつもりでいた。

内藤るなと高井千帆が撮りあったら、ものすごい内面まで写りそうな気がして、楽しみだったのだが、その日がやってくることはついになかった。

B.O.L.Tの取材のあとは、キングレコードの近くにある『たかちゃんらーめん』で濃厚魚介ラーメンを食するのが密かな楽しみだったのだが、そのラーメン店が昨年、突然の閉店。

これからB.O.L.Tの取材のあと、どこでなにを食べればいいんだよ、と嘆いたものだが、まさかB.O.L.Tを取材すること自体がなくなってしまうなんて……寂しい。本当に寂しい。