クッキーさん、荒木先生に見に来てほしい

合同取材中、記者から「三越銀座というクリエーターなら誰もが憧れる聖地で個展ができることは、喜びとプレッシャーのどちらが大きい?」という質問が飛ぶと、胸の内を隠さずに語ってくれた。

喜び、プッレッシャー、どっちもあります。「これで全然駄目とかってなったら、どうなんやろ」とか。だからって三越の前で呼び込みをやるとか、そういうわけでもないですけど(笑)、自分にできる限りの宣伝はいっぱいしたいなと。

いっぱい見てほしいので、友達とかにはチラシとか配ってるんですけど、画家のお友達もいたりとか、高校時代に私が追いかけていた方……今、画家としてすごい有名になって、すごい個展とかもやっていて、その方にもメールを送ったんです。

けど、本職でやってる人が銀座三越でやるって相当なことだったりすると、私が急にやらせてもらうってのは、どうなんやろうって。“この程度か”って思われるのかなとか。でも「おめでとう」って言ってくれるし「見に行けたら行く」とも言ってくれてるんですけど、本職の方から見て“どう見られるのかな”と思ったりはします。

芸人にはアーテイストとしての才能を持つ人材も多いことで知られる。会見では「どの芸人に来てほしいか」「誰に見てほしいか」という質問も飛んだ。しずちゃんの言葉からは多くの人たちへの感謝の気持ちが伝わってきた。

絵を描く芸人さんって多いじゃないですか。絵を描く人って絵を見るのも好きなはずなんで、絵を描く人には来てほしいですね。ついさっき、クッキーさんからメールをいただいて「券、届いたよ。行けるときあったら行くわー」って。普段はメールのやり取りとかはしないんですけど、わざわざ送ってくださったんで、クッキーさんがどう見るのかなとか、ちょっとドキドキするところだったりします。

あと、ジョジョ(『ジョジョの奇妙な冒険』)の荒木飛呂彦先生に連絡したら「(しずちゃんが2007年に贈った荒木先生の)肖像画がうちにありますけど、もしよろしければ展示されますか」と言ってくださって、実際にさせてもらうことになったので、先生にも来てほしいですね。

呼んでいただけるのなら地方も回りたい

今後はますますアーテイストとしての活動に注目が集まるが、「期待に応えたい」「ファンの方を大事にしたい」というしずちゃんの心意気に変化はないようだ。

「地方も回りたい」という構想は自分で持っていて、もし呼んでいただけるんだったら、ぜひ(個展を)やらせていただきたいという気持ちはすごくあります。SNSで「個展があります」って発信したら、大阪に住んでる人たちが「こっちでもやって!」とかって言ってくれたりするんですよ。そういう人もいるので、東京では見られない人たちのところに行ってできたらいいですね。

さっそく8月には埼玉県浦和での個展の開催も決まったしずちゃんだが、絵に対する想いも、ファンの方への想いも自然体のままのようだ。

なかなかこういう機会がないと描き始めないんですけど、描き出すとすごい楽しいですし、自分で何かをゼロから生み出すって心地よいというか、自分がちょっと安心するっていうのと、何かを作っている自分のほうが好きって思えるので、“描いてるっていいな”って改めて感じています。

作品は誰にでも見てほしいです。子どもでも大人でも誰でもですね。この前、スーパーで買い物をしてたら、おばちゃんが「よくプレバト見てるよ!」と声をかけてくださって。ちょうど(個展の)チラシを持っていたから、「こんなんやるんです」って渡したら、その方がスーパーで買った大きいお菓子くれました。けっこう大きいやつくれたんですよ。チラシって持っておくもんやなって(笑)。「絶対、100%行く!」と言ってくれました。

単独個展『しずちゃんの、創造と破壊 展』では、しずちゃんの素晴らしい作品の数々と、しずちゃんの素晴らしい人間性にも触れてほしい。


<展覧会情報>
しずちゃんの、創造と破壊 展
2023年5月3日(水・祝)〜5月15日(月)
午前10時〜午後8時[最終日午後6時終了] ※ご入場は、各日終了30分前まで
銀座三越 新館7階 催物会場
入場料:一般1,000円/大学・高校・中学生800円(小学生以下無料・税込)
詳細は公式サイト:しずちゃんの、創造と破壊 展
プロフィール
 
しずちゃん
2003年 山里亮太と「南海キャンディーズ」を結成。2004年「M-1グランプリ2004」準優勝、「第25回ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞。2005年「第40回上方漫才大賞」優秀新人賞、「第43回 ゴールデン・アロー賞」新人賞受賞。2007年 映画『フラガール』で「第30回日本アカデミー賞」新人俳優賞受賞。同年、NHKドキュメンタリー番組内の企画で、それまで趣味で描いていた絵画を敬愛する荒木飛呂彦氏に見てもらった際「色彩がジョジョっぽいかもしれない」と褒めてもらったことをきっかけに作品制作に没頭。以降、独特な画風と絵画技術の高さで様々なメディアから注目を浴び、MBS『プレバト!!』では水彩画・名人初段、ちぎり絵・特待生3級などの段位を獲得。著書に絵本「すきすきどんどん」(2009年/幻冬舎)、「このおに」(2018年/岩崎書店)がある。2023年には自身初となるエッセイを発行予定。Twitter:@sizusozotohakai、Instagram:@nankaicandies、YouTube:しずちゃんの創造と破壊チャンネル【南海キャンディーズ】