吉本興業所属のお笑い芸人・スリムクラブ。ツッコミを担当しているのが内間政成。2010年にM-1グランプリで準優勝に輝くなど、芸人として素晴らしい活躍をみせていた。

そんなスリムクラブに暗雲が立ち込める出来事があった。闇営業問題である。世間でも大きく報じられたあの事件から内間が得たものと、そこからたどりついた“等身大の生き方”を語ってくれた。

自分の“作品”を初めて世に出せた

――『等身大の僕で生きるしかないので』(ダイヤモンド社)の発売、おめでとうございます! 心境を聞かせてください。

内間政成(以下、内間) ありがとうございます。もちろんうれしいのですが、不思議な感じもしています。これまで「自分の作品」というものがなかったので。

コントなども作品だけど、相方の真栄田(賢)がネタを考えているので、僕の勝手な思い込みなんですが、どうしても「相方の作品」だと思ってしまうんです。これを言うと相方は怒るんですけどね(苦笑)。それは僕の欠点だなと思っています。

これまで自分を下げて生きてきたんです。でも、そういう生き方だったからこそ一冊になったので、結果オーライということで(笑)。

――本を出したいと思っていたのですか?

内間 じつは全然そんなことはなくて(笑)。読むのは好きだったんですけど、文章を書くのは苦手だったので、自分が本を出版するなんて夢にも思っていなかったです。

Twitterも自分の気持ちを表現したくないので、回ってきた告知ツイートをリツイートするだけという使い方でした。

――企画段階から、自己啓発系の切り口で書きたいと考えていましたか?

内間 事務所の「作家育成プロジェクト」という企画からこの本は生まれたのですが、当初は4コマ漫画で出版できたらと自分では思っていたんです。

でも、担当編集さんと打合せしたときに「4コマ漫画は厳しい」「シュールな面白さは伝わるんだけど、メッセージ性がよくわからない」という話になりまして。

そんななか、いろいろ話していくうちに「僕、めちゃくちゃ人に怒られるな」って気づいたんです。怒られたエピソードを出していくと、自分の欠点がわんさか出てきたんです。

じゃあ、それを軸に「これだけ人に怒られて、欠点もたくさんあるけど、なんとか楽しく生きているよ」っていうメッセージを届けられたらと思い、自己啓発のような形になりました。まさか40個も出てくるとは思わなかったですけどね(笑)。

――紆余曲折あって、この一冊が完成したんですね。相方の真栄田さんにはもうお渡ししましたか?

内間 それが、まだ渡せていなくて……。あらためて渡すとなると、照れくさいんですよね。

僕たちYouTubeで動画を上げているんですけど、この前もこの本を手に取って動画内で宣伝しているんですよ。でも、向こうも(本が欲しいと)求めている感じもないし……。

いつか渡せたときは、絶対SNSで皆さまに報告しようと思っています。

――楽しみに待っています(笑)。書籍の内容が自身の「弱さ」「欠点」「恥ずかしかったこと」など、人間だったらあまり見せたくない部分もさらけ出しています。人生を振り返るという作業でもあったかと思うのですが、執筆はツラかったですか?

内間 タイトルにもある通り「等身大の自分」を見せないと意味がないと思って、原稿を書き進めました。最近の自分からどんどん過去を振り返っていきました。

今だから言えることではあるのですが、例えば身体の成長の話とかは、めちゃくちゃ大袈裟に捉えていたなと。そこまで重くとらえる話でもなかったなって。もちろん、当時はすごく悩んでいたんですけど。大人になっているんだなと実感する瞬間でもありました。

過去にさかのぼっていくにつれて、どんどん心が楽になっていくのを感じました。先輩の自分(現在)が、後輩の自分(過去)を見ているようで、面白かったです。

先輩・東野幸治からの帯推薦文!

――本の帯には先輩の東野幸治さんから推薦文が掲載されています。東野さんからいただけると聞いたときは、どんな心境でしたか?

内間 それはうれしかったですよ。そんなに一緒にお仕事をさせていただいたことはないんですけど、世間を騒がせてしまった闇営業問題のときに、テレビ番組でスリムクラブの名前を出してくださったんです。ご自身がやられているラジオにも僕を呼んでくださったり。

あとは謹慎明けのヨシモト∞ホールでの復帰漫才後、相方とラーメン屋さんに入ったら、偶然、東野さんがいらっしゃって挨拶させてもらったりとか。

僕たちが苦しいと思っているタイミングで手を差し伸べてくれる方ですね。

▲先輩・東野幸治との思い出を語る内間