埼スタは“何か”を起こす場所

勝ちゲームで印象に残っているのは2017のACLです。

特に決勝トーナメント一回戦の済州ユナイテッド(韓国)戦、準々決勝の川崎フロンターレ戦は、どちらもできすぎなくらいの大逆転でした。

済州戦では、ファーストレグをアウェーで0-2で敗れていたなか、ホーム・埼玉スタジアム2002で2点を取り追いつきます。さらに延長戦で決めた森脇良太選手のゴールでベスト8進出を決めました。

森脇選手はJリーグでのトラブルで直前まで謹慎しており、試合後どころか得点直後、すでに感極まっていて、その周りで祝福するサポーターの笑顔や選手たちも含めて、愛されキャラの森脇選手らしくて微笑ましかったのを覚えています。

そして、その後の乱闘も、まあ印象に残っています。試合中に相手のベンチの選手がピッチに乱入、横断して逆サイドのレッズの選手に体当たりしたシーンは、あとから見た映像では危険極まりなかったですが、僕の席からはそんなに激しいタックルには見えず、相手選手に怒りながらも

「いや、出てない選手がそんな熱くなる?」

とちょっと笑ってしまいました。体当たりされたレッズの選手が森脇選手というのも面白に針が触れる要素になったのかもしれません。観客席全体が大ブーイングと少しの笑いに包まれ……。

「あれ? 森脇(選手)いるな。え? 体当たりされたの、阿部(選手)じゃね?」

そうです。森脇選手が体当たりされたと思っていましたが、よく見ると体当たりをされたのは阿部選手でした。

「テメェ何してくれてんだ!!!!」

一瞬で僕を含めスタジアムが怒号に包まれました。それほどキャプテンを大事に思っていたのです。(もちろん森脇選手も大事に思っています!)

そして、このシーズン途中、長年にわたりレッズを率いて、美しく強いサッカーを築いていたミハイロ・ペトロビッチ監督が退任し、後任の堀孝史監督が率いて挑んだのが準々決勝川崎フロンターレ戦です。

初戦を1-3で落とし、あとがない状況。さらにいうと、当時の両者にはチームのクオリティーに大きな差がありました。端的にいうと、フロンターレはレッズよりめちゃくちゃ強かったのです。

この圧倒的劣勢のなか、セカンドレグも先制点を許し、勝ち上がるには4点が必要になってしまいました。サッカーでの4点は絶望的です。

しかし、ここから奇跡が起こります。

「お前、技術あるんだからもっと狙ってこいよ」

という興梠慎三選手の檄に応える形でスルーパスを通した矢島慎也選手のアシストから、「それだよ」と言わんばかりの興梠選手のゴールで1点を返します。

その後、相手の車屋紳太郎選手が一発退場に。川崎はチームの大黒柱である中村憲剛選手を下げて、残り50分強を守備的に試合を運ぶことを選びます。

ここがターニングポイントとなりました。レッズの猛攻に徐々に飲まれていく川崎。それでもチョン ソンリョン選手の鬼神の如きスーパーセーブ連発。

どんだけ強いんだ、このチーム。

しかし、70分にセットプレーからズラタン選手のゴールで追い上げると、84分にラファエル・シルバ選手、86分の高木俊幸選手の連続ゴールでトータルスコアをひっくり返したのです。結果論ですが、中村憲剛選手がピッチに残っていたらこうなっていただろうか。

また興梠選手自身が「あれで一発退場は少し可哀想」と言った車屋選手の退場も含め、幸運もありました。

済州戦もそうですが、特に一発勝負において埼玉スタジアムには何かを起こす雰囲気があります。

〇【公式】ハイライト:浦和レッズvs川崎フロンターレ AFCチャンピオンズリーグ 準々決勝 第2戦 2017/9/13

思えば初めてのACLの決勝(2007年)も、セパハン(イラン)のGKがレッズサポーターのブーイングに耐えかねて、耳を塞ぎながらゴールキックの助走を取っていたのが印象的でした。

今まで全然勝てない時代もありました。しかし、一発勝負の埼スタに関しては、いつだって俺たちは圧倒的に強い。そんな印象があります。

福岡に就職したあいつも今は埼玉に帰ってきて、息子にレッズのユニフォームを着せて親子3人で応援しています。

そして来たる5月6日、みんなで最高の雰囲気を埼玉スタジアム2002で作っていきましょう!!

そして、サウジアラビアに向かうチームバスを歌で盛り上げるレッズサポーターを、自らのホームにも関わらず見守ってくれた川崎サポーターの皆様ありがとうございました!

あのような雰囲気を作る浦和サポーターも、レッズをJリーグの代表として送り出してくれる川崎サポーターも最高でした!

川崎サポーターの友人に聞くところによると、浦和サポーターはバスを囲みながらも、通り過ぎる川崎サポーターに頭を下げてお礼を言っていたそうです。

リスペクトし合える関係、最高ですね。

来年またアジアで一緒に戦いましょう! 一足先に世界と戦ってきます!

次回の『カカロニ・すがやの“熱”Football Watch!』は、5月8日(月)更新予定です。お楽しみに!!


プロフィール
 
カカロニ・すがや
1991年3月5日生まれ。O型。東京都出身。2016年、現在の相方である栗谷とカカロニを結成。グレープカンパニー所属のお笑いコンビとして活動中。趣味はサッカー(サッカー歴15年・ブラジル・ロシア・カタールW杯を現地観戦)、深夜ラジオ(元ハガキ職人)。特技はサッカーとくりぃむしちゅー上田さんの例えツッコミを暗記すること。Twitter:@sugayazinho instagram:sugayazinho