怒涛のお風呂タイム
お風呂タイムは最難関のイベントだ。次男を浴室外に寝かしたまま、まずは3歳の長男を超高速で風呂に入れ、それが終わったら、次に次男を風呂に入れる、と計画は完璧なのだが、毎回うまくいかない。
長男の髪を洗っていると下の子が泣きだすから、急いで体も洗って湯船に放り込む。自分はビショビショのまま外に出て、次男のおべべを脱がせて、風呂に連れてくる。生まれたばかりの赤ん坊だから、ベビーバスで全身を丁寧に洗う。体を洗ったら冷えないよう速やかに体を拭いて服を着せたいのだが、そのあいだにも浴槽につかっている上の子が溺れていないか、注意は怠れない。
次男に続いて長男の番だが、「まだお風呂に入る」と出ようとしない。無理やり出すと泣きわめいてあとが面倒なので、そのまま風呂に入れていると、次男が泣き出した。次男をあやしながら、長男をなだめて風呂から出して、着替えさせる。そして、風呂が終わったら、ご飯の準備が待っている。
休みの日に公園に連れて行くときは、とりあえず芸人仲間を誘うことにした。小さい子はいっときも目を離せないので、トイレに行くときに「ちょっと子供を見といてくれる?」という相手がいると、とても助かるのだ。子供同士で遊んでくれると、少しだけ気も休まる。
育児をツラいと思ったことはない。だけど、気が張っているからとても疲れる。公園から帰ってきたら子供と同じタイミングで寝てしまう。だけど、しばらくすると子供たちの泣き声で目が醒める。ミルクにオムツと一晩中、気が休まることはないのが子育てなのかもしれない。
1人目のときにあらかた経験したことではあったが、2人目が生まれて、ああ、そういえばこんな感じだったよなぁと思い出すのが、なんだか感慨深かった。
長男が立って歩き出したときは、嫁と2人で「立った! 歩いたよー!」と大喜びして動画を回したもんだが、2人目は「あ、立ったね。歩いてるじゃん」と普通のリアクションだった。
そして子供は日々大きくなっていく。
次男は1歳5カ月になった。
お兄ちゃんは、わりと慎重派で穏やかな性格だが、次男は知らない相手にも臆することなく、どんどん向かっていくわんぱくな感じだ。今日もお兄ちゃんの遊んでいたプラレールを踏み倒しては、怒られて泣いていた。だが、もう少し大きくなると、次男もそれに反撃して、やがて兄弟ゲンカになったりするのだろうか。
10年後、20年後、この子たちが大人になったときに「うちのお父さんは芸人なんだ」と胸を張れるような売れっ子になりたい、と改めて思った。お父さんの仕事は「ウーバーイーチュ」ではないのだ。
(構成:キンマサタカ)