コロナ禍での次男誕生
1人目の子供が産まれてから2年半ほど月日が経った。ヤンチャだけど、とても繊細な男の子で、毎日の成長に目を細めていたある日、2人目の子供も授かっていることがわかった。自分も妹がいたから、兄弟はいたほうがいいと思っていたので、2人目の妊娠がわかったときは素直にうれしかった。
男の子でも女の子でもどちらでもよかった。しばらくすると定期検診でお腹にいるのは男の子だということがわかる。「男2人かぁ、賑やかで楽しそうだなぁ」と思った。長男は平成の最後のほうに生まれたが、下の子は令和生まれだ。そしてコロナが世界を真っ黒に塗りつぶす前と、まさにコロナ禍の真っ最中。何もかもが違う時代に生まれた2人を育てることになる。
長男のときは、妻は里帰りして出産したが、次男はこのまま自宅近くの病院で産むことにした。コロナ禍では誰しもが過敏になっていたから、そこに配慮しての判断だった。
妊娠10カ月になり、陣痛らしきものがきた。「お腹が痛い」と訴える嫁を見て、慌ててタクシーを呼ぶ。だが、病院についても、感染防止対策の一環で、家族であっても出産に立ち会えないことを知る。俺は病院に妻を預けて、一旦、自宅に帰る。
2021年12月15日――「無事に元気な男の子が産まれてきた」という文面とともに写真が届いた。だが、生まれたばかりの我が子に病院に会いに行くこともできない。だから写真を見るしかない。
なんだがふてぶてしい顔をしている。まるで学生時代の俺みたいに、ヤンチャそうなところもかわいい。親というのは自分に似ているところを必死に探してしまうものなのだ。毎日、仕事やバイトから帰ってきて、ぼーっと次男の写真を見ながらニヤニヤすることが日課になった。妻がいないあいだの長男の世話は、もちろん俺がした。
早く会いたい。だが会いに行けない。コロナが憎い。1週間後。嫁が退院する日が決まり、病院に迎えに行った。そして家族4人の生活が始まった。
嫁は産後に体調を崩してしまったので、少し子供と離れてのんびりできる時間を作ることにした。子供が2人になるということは2倍大変になるのだろうと覚悟はしていたが、体感的には3~4倍は大変だった。
たとえば、長男が泣き止んだと思ったら次男が泣き出すし、次男が泣き止んだと思ったら、長男が遊んでと駆け寄ってくる。そうこうするうちにまた次男が泣き出す。どうやらウンチらしいとオムツ変えていると、上の子が「早く遊んで」と背中にしがみついてくる。
まるでチャップリンの映画のようだ。