いつも追い立てられるように「時間がない」と焦っている人いませんか? これは、先のことばかりを考えていて、まだ起きてもいない未来の不幸にむかって“時間旅行”をしているため。その“時間旅行”を何度もくりかえすことで、エネルギーを使い果たすばかりか、ますます最悪の未来を作りだしているのです。ここでは「なぜ時間がない」となってしまうのか、人気カウンセラー大嶋信頼氏の検証を紹介します。

※本記事は、大嶋信頼:著『憂うつデトックス』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。

一生懸命にやっているのに間に合わない!

「時間はすべての人に平等」という名言をある先生から教わり、「おー、たしかに」と思ったことがありました。

なぜなら、私はいつも「なんで自分ばかりこんなに不公平な目に遭うんだ」とずっと思っていたから。生まれた環境が経済的に恵まれていたり、知能だって遺伝だから「優秀な家系」に生まれた方がいいに決まっている。背の高さだって、外見の美しさだって「私には何も与えられていないから神様は不公平だ!」と子供の頃からずっと嘆いていました。

でも、「時間だけは平等」と教わった後、気がついたら私は「時間がない、時間がない」と焦っているんです。周りにいる、自分と同い年の人はいつも余裕を持ってゆったりと過ごしているのに、私だけは、いつも何かに追い立てられているような感覚で「時間がない」と焦っています。

与えられている時間はみんな同じはずなのに「自分がやるべきことがちっともできていない」となって、全てがギリギリになってしまいます。学校に行っていた時は、毎日遅刻ギリギリ。提出物なんかもギリギリで「一生懸命にやっているのに間に合わない!」ということが多かったんです。

心理的な時間の長さは年齢に反比例する

自分では「遅刻をしないように早めに家から出た方がいい」とわかっているのにギリギリになってしまい、試験勉強や宿題も「時間がなくていつも間に合わない」となっていました。そして「自分がだらしないから」とか「注意散漫だからちゃんと間に合わせることができない」とずっと思っていて「自分はダメ人間」と自分を責めていました。

あの引力の法則を発見したアイザック・ニュートンの「絶対時間」という概念で「宇宙の端から端まで一様に時間が流れている」という考え方がありますが、その絶対時間の感覚でいくと「あなたが不器用だから時間がなくなる」とか「だらしないからいつも時間が足りなくなる」ということになって、時間の使い方がダメな自分を責め続けなければならなくなってしまう。

その後、19世紀にポール・ジャネというフランスの哲学者が「ジャネの法則」を発案しました。感覚的に記憶される年月の長さは、年少者にはより長く、年長者にはより短く感じられるようになる、というものです。

要するに、心理的な時間の長さは年齢に反比例して「歳を取れば取るほど時間が短く感じられる」のです。たとえば60歳の人と10歳では人生における1年の長さが60分の1と10分の1で違います。年齢が高いほど、時間が短く感じられるのです。