眠れないほどの痛みが膝を襲う
僕の膝を手術してくれたのは、J3のY.S.C.C横浜のチームドクターを務めていた経験もある中嶋先生でした。ありがたいことに膝の専門医が診てくれることになったのです。いや僕、アスリートじゃないのよ。
共通の知り合いのサッカー選手の話をしたり、僕がサッカーで怪我をしたことを話した結果、誤解が生じてしまい、僕が完治までの時間を聞いても『ピッチに戻れるまでの時間』しか教えてくれないというアクシデントこそありましたが、とても信頼できる先生です。
膝を「ギブスやテーピングで固定せず、なるべく動かす」という、学生時代のチームメートがやっていたこととは真逆の最先端の早く治る方法を教えてくれました。
手術をする際はリハビリ含め3週間の入院が必要と言われましたが、「仕事があるから、なるべく早く退院させてほしい」とお願いして、「リハビリの進行具合を見て」という条件付きで入院期間を8日にしていただきました。
そして手術翌日、夜も眠れないほどの痛みに
「これ、しばらく退院は無理だ……」
と悟りました。
病室にゲーム機など持参していましたが、痛くて操作ができない。動画を見るだけならなんとかなるかも、と思った僕は『吉本興業110周年特別公演・伝説の一日』の配信チケットを購入しました。
そこでダウンタウンさんが漫才をしたのが、お笑い界では大きく話題になっていたのです。
もちろん、僕もそんな伝説の一日の目撃者になりたくて購入しましたが、病院内は電波が悪く、購入はできても動画を再生できません。そして、スクロールすると『再生期限』の文字が。期限は7日後です。
予定通り退院した頃には再生期限が過ぎています。
そんなとき
「菅谷さん、リハビリ始めますよ」
と病室に声がかかりました。
やるしかない。早期退院を勝ち取るのだ。僕は怪我を治すためのリハビリにも関わらず、怪我を押してプレーする選手のようなメンタルで臨みました。
すると意外にも膝は可動しました。パワプロのサクセスなら『回復〇』が、この日ついたことでしょう。
そしてリハビリ後に、トレーナーさんが言いました。
トレーナーさん「菅谷さん、意外といけますね」
菅谷「そうですね。意外と」
トレーナーさん「じゃあ明日、退院で」
なにぃ? 一泊で!?
僕は言いました。
「いや、それは早いっすよ」
お前が早く退院したいって言ったんだろ。
この日のことを振り返り相方の栗谷さんは、
「手術をしたのではなく仙豆を飲んだのかと思った」(『ドラゴンボール』参照)
と、述べていました。