投打の二刀流でメジャーリーグを席巻するエンゼルスの大谷翔平とともに、アメリカを飛び回る熱狂的な日本人のファンがいる。ロサンゼルスに住む芸人のアキ・テリヤキだ。

身長159センチ。小柄なキャラクターを生かしたモノマネを十八番とし、大谷に扮する「ミニタニ」やパドレスのダルビッシュ有を模する「ミニビッシュ」を代表作とする。2022年にエンゼルスのレギュラーシーズン全試合を現地で観戦した“世界一の大谷通”のインタビューをお届けします。

前編はファン目線で見た大谷の進化を中心に語ってもらいました。

大谷のお面モノマネで全米デビュー!

――昨年エンゼルスの全162試合を現地で観戦したそうですね。

アキ・テリヤキ(以下、アキ) 大谷選手は、子どもが持つような純粋な心を球場でざっくばらんに表現してくれます。野球選手としてエンターテインメントを見せてくれるんです。二刀流として開花した2021年のシーズン後半から、敵地も含めて観戦し始めました。二刀流の選手だからこそ毎日試合に出る。あれだけ魅了してくれる選手なので、毎日行けば何かしら収穫があると思ったんです。

――渡米したのが2006年。ダルビッシュ選手のモノマネから全てが始まったとか。

アキ ダルビッシュ選手がメジャーに移籍した2012年からモノマネしています。日本にいた頃から似ていると言われていたんです。自分がやっているコメディー活動の延長で、メジャーの世界に入り込みました。渡米を意識した当初は、野茂さんがメジャーで活躍していました。あれだけ結果を出すと、世界を巻き込む魅力に変わっていく。人生は一回しかない。その一回を大舞台で試してみたい、というのがアメリカに渡ったきっかけでした。

▲ダルビッシュ有選手を模するミニビッシュ(写真:本人提供)

――今はお面をかぶって大谷選手のモノマネをしていますね。

アキ 顔のパーツでいったら大谷選手の真逆。整形してちょっとでも似せたら面白いかな、と考えたこともありましたけど、どうしようもなくて。お面をかぶるしかない、小学生みたいなアイデアですよね。それでエンゼルスタジアムにお面をかぶって行ったところ、ファンにバカ受けで。現地のテレビ局からも注目されるようになって「変なやつがいる!」と試合中継にも映りました。そこからロサンゼルスだけでなく全米に広まっていきましたね。

――現地で見続けるからこそ感じる大谷選手の進化は?

アキ やっぱりアジャスト力ですね。年々すごみが増している技術的な対応力はもちろんですが、気持ちの切り替えもさすがです。例えば、チームが連敗しているとき、がっかりした感じで球場に来るのかなって待っているじゃないですか。でも、ぱっと現れると満面の笑みなんです。

――精神的な「アジャスト力」もあるんですね。

アキ 細かいこと言うのならば、打席ごとの切り替えもすごいです。2打席連続で三振したあと、落ち込んでいるのかなと思ってベンチを見るじゃないですか。チームメートとじゃれあっているんですよ。いや、普通へこむよねって。すぐに切り替えて3打席目の準備をしている。それで3打席目にヒットを打つんです。