始球式のオファーがインスタのDMで届いた
――生観戦しているからこそ、ベンチでの様子にも気づけるんですね。
アキ 大谷選手が投げている試合で、味方の野手に好プレーがあったら、イニングが終わってダッグアウトに戻ってから、その選手のところへ「すごくよかったよ」って声をかけに行くんですよ。技術も半端ないですけど、野球小僧がそのままメジャーに入ったような感じですよね。
――たしかに感情表現が豊かに見えます。
アキ 二刀流で出場している試合は、ベンチに座っている時間がほとんどないですね。打者として塁に出て、その攻撃が終わってすぐマウンドに向かうとすると、30分ぐらいフィールドに立ち続けるわけです。とにかく野球が好きで、いつでもプレーしたいというのが行動に表れています。休養を取った翌日に調子が悪いなんてこともありますね。大谷選手にとって気分転換が野球であり、仕事も野球なんだと感じます。
――今季、開幕直前のオープン戦で始球式を行っていましたね。
アキ エンゼルスとドジャースのロサンゼルス対決で、「フリーウェイシリーズ」と呼ばれる試合でした。2022年に162試合観戦したお祝いで始球式というプレゼントをいただきました。侍ジャパンが世界一に輝いたWBCで、大谷選手がトラウト選手に投げた最後の1球と全く同じ気持ちで投げましたよ。
――インスタグラムのDMで招待されたとか。
アキ 最初は「本当かな?」って。よく日本で「出る杭は打たれる」って言うじゃないですか。アメリカは真逆ですね。今回の始球式もそうですけど、必ず誰かが拾ってくれます。
――活動費はテレビ出演による収入などで工面しているんですか。
アキ そうですね。とにかく出費を抑えています。飛行機のチケットは安いものを探します。深夜に乗って朝5時に着くものとか。泊まるのはドミトリーとか1泊20ドルの場所。大谷選手がエンゼルスでプレーしているから、全162試合を観戦できるんです。エンゼルスの主催は81試合で、年間シートは750ドルぐらいです。
――メジャーの球団のなかでは安いのでしょうか。
アキ 安いです。日本円で10万円かからないくらいです。ドジャースなどは少なくても3倍くらいです。エンゼルスタジアムで観戦するときは、球場まで歩いて10分くらいの距離にある無料の駐車スペースに車を停めています。とにかく節約です。
――162試合を現地観戦すると、移動距離は8万3000キロに及ぶそうですね。
アキ だいたい地球2周分ですね。いろんな人たちに触れ合うことで、アメリカの文化を知れました。アメリカに来て16~17年経ちますけど、今が一番楽しいです。
≫≫≫ 明日更新の後編に続く
〇飛行機の窓から球場だけ光って見えるんです【Crunch-special-intervieW-後編】