毎日が息苦しく、生きづらさを感じる方が増えています。でもそれは、あなたの心が弱いわけでも、社会が悪いわけでもありません。大切なのは、世の中も、他人も、そして自分の心だって、自分の思い通りにはならないと知ることです。精神科医の藤野智哉氏からの、心がふっと軽くなるためのアドバイス。
※本記事は、藤野智哉:著『自分を幸せにする「いい加減」の処方せん』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
SNSを見ていて心がざわついたらスマホを置く
イヤなことがあったとき、あなたは何を考えますか。
「今日はイヤなことがあったなぁ」と引きずったりしていませんか? 家に帰って家族にこんなことがあってね、と話してそれは災難だったねぇ、なんて相槌をもらって、お風呂に入って「ひどい1日だったな」なんて思い返したりして、明日はいい日になるようにと祈って眠る。
とても素敵な振る舞いに見えますが、あなたはもう少し早く気持ちを切り替えてもいいかもしれません。
ツイッターなどSNSをやっていると、イヤなことを言ってくる人が定期的に現れます。きっと何かイヤなことがあったんだろうなと推察はしますが、性格の悪いひねくれた言葉を投げかけてくる。そして、おそらく本人はその行動さえ覚えてない。言葉の通り魔ですね。一方で受け取った方は、すれ違った他人に唾をかけられたような不快な気持ちになるわけです。
イヤなことがあっても、自身の機嫌がいいときは全然気にならないんですよね。
でも、テンションが低いときは、なんてことないクソリプについイラっときてしまったりするんです。
そう考えると、ツイッターやSNSは心の健康のバロメーターなのかもしれません。
絶好調のときは、人の自慢にすら「いいね!」をできます。少しでもSNSを見ていて心がざわつくときは、スマホを自分から離れたところに置いて、散歩に出かけたりして、意識をそこからそらすことが大切です。
悪口を言ってくるような意地悪な人と同じ目線に立って、自分も意地悪な気持ちに浸ってしまうことはありません。
あなたは役者で、晴れの舞台に立っているとします。念願だった舞台から見る世界はキラキラしている。そんなとき、舞台下から何か悪口を叫んでる人がいたとして、あなたは「何を言ってるの?」と、わざわざ舞台を降りてまで相手と同じ目線に立つ必要はないんです。
何か言ってるな……と、あなたはそのまま芝居を続ければいいんです。
相手と同じ視座になったら、あなたもきっと同じように悪口を言いたくなります。そいつはまさに、あなたのことをドロドロの醜い姿にさせたい「妖怪」だと思ってください。
目を合わせてもダメ。あなたは、あっという間に相手と同じ姿になってしまいます。
イヤなことがあったらお気に入りの写真を見る
胸が痛くなるような悲しいニュースが毎日テレビから流れています。どれも救いのないニュースだとしても、あなたはそれを1日引きずることはない。だって、あなたは他人の不幸を背負うことはできないんですから。悼(いた)んだあと、気持ちを切り替えるべきなんです。
大切なのは、できるだけ早く気分を切り替えることです。見たことを忘れる努力と言ってもいいかもしれません。ツラいことがあったら、すぐに楽しいことを考える。
ツラいニュースがあったあとに、すぐに楽しいことを考えようとするあなたは、自分を薄情な人だと思いますか?
だったら、何分後だったら楽しいことを考えていいんでしょうか。
天災のニュースを見た直後に、「お腹がすいた」と思ったら不謹慎でしょうか。誰だってお腹はすきます。生きるために前を向いて歩くことを誰が否定できるのでしょう。
繰り返しになりますが、大切なのは、イヤなことツラいことがあったら、すぐに気持ちを切り替えること。
つらい気持ちを抱え続けないこと。あなたの中のネガティブな気持ちは、あなた自身をダークサイドに引っ張り込もうとします。
しんどくて、思考が抑制され、視野も狭くなった状態でグルグルグルグル……囚われた思考をしていると、だいたい悪い方向に考えは進みます。
冷静な判断ができない状態でくだす選択は、必然的に悪い結果を生みます。
うつ病のときは大きな選択をしない・させないことが大切になる、と言われるのはそのためです。
嫌いな人のことを考えるのに時間を割くほど人生は長くないしもったいない。心臓が急に止まったら、最後に考えてたのが嫌いな人のことなんて最悪じゃありませんか。とりあえず、好きな人とかハッピーなことについて考えるほうがいいのかなって。
ツラいことがあったら、好きなことを考えましょう。
私がよくやるのは、イヤなことがあったら、スマホに保存した「かわいい動物の写真」を見ることです。
イヤなことがあった、動物の写真で癒された。気持ちが切り替わった。
このルーティンを作れば、あなたがツラい気持ちになったときに、すぐにリカバリーすることができます。
イヤなことがあったら猫の写真。これは私がたどりついた真理です。