30年追いかけていきたい『飯フレ』の関係

――次は、さのさんの『ただの飯フレです』が、今年4月に1巻が発売され、すぐに重版もされたとか?

さのさくら はい、翌日に重版がかかりました。誰も気づいてくれないですけど(笑)。

――アマゾンでベストセラーマークが付いてました。

さのさくら ロマンス部門でいい感じになったんです。本当にありがたいです。

――この本を描こうと思ったきっかけみたいなものは?

さのさくら もともと構想があったわけじゃなくて、幻冬舎コミックスの担当編集さんと「何か作りましょう」という話をしたとき、担当は20代の方だったんですけど「男女が二人で会ってお話をしながらご飯を食べるという関係、それってすぐに恋人になってしまうということ? それだけだと寂しいよね」みたいな話があって。「じゃあ“セフレ”じゃなくて“メフレ”っていうのがあれば面白くないですか?」「いいっすね」って、そんな感じで進んでいきました。

――そのときはコロナ禍でしたか?

さのさくら そうですね、普通にコロナ禍ではあったんですけど。その時期、私は20代の編集さんたちと話をすることが多くて。出会いをマッチングアプリで探していたり、それに疲れていたりという話を聞いていると、人間関係の基盤というものがまだできていない状態の世代の人たちと、作品がうまく噛み合ったような気がしますね。

――キャラクターいいですよね。

さのさくら 等身大ですよね。

パリッコ 30年くらいこのままで続いてほしい気もするし、関係が進展してほしい気もするし。読者としてはどっちなんでしょうね。ぜひ、ライフワークとして描いてください。

さのさくら 30年か……。

ジュンスズキ 「飯フレ」というネーミングがよかったですよね。

さのさくら そうですね。『ただの飯フレです』というタイトルは、担当編集さんが付けてくれて。本当にいいタイトルだなと思っています。

▲漫画の話をしながらビールが進む

――お二人とも上手ですよね。食べるシーンとか料理の絵とか、おいしそうです。

さのさくら ありがとうございます。あいろんぱんさんの作品を読んでいるとお腹が空いてきます(笑)。

あいろんぱん 私は絵があんまり得意じゃなくて、こういう感じで『おうちビール』みたいに、自分じゃない主人公を描くのが初めてだったので、どうやっていいか迷っていたんです。それで、食べているときの反応とか、表情でどうにかしなきゃいけないと考えて描きました。

――食べてるシーンが、ちょっとエロいんですよね。

(一同) おーわかる。

――すごくエロいわけではなくて、どこかに艶が入っているという感じが、お二人とも共通するなと思っていて。

ジュンスズキ たぶん「食欲」と「性欲」は直結しているんで、エロく描かなくても読者はエロく感じるという。女の子がおいしそうにご飯を食べていたら、みんな幸せにな気分になりますよね。

――無限に見れますね。あいろんぱんさん、作品のなかで主人公が「旨ぁUUUP」というじゃないですか。あれはどうやって出てきたんですか?

あいろんぱん あれは漫画として何かこう、決め台詞があったほうが……っていうことで、いっぱい考えたんですよ。最終的に「旨ぁUUUP」になりました。

パリッコ 毎日使っていますよ、使いやすいですよね。 

あいろんぱん 流れでいけますからね。母音で。

――たしかに!

あいろんぱん 「スマップ」とだいたい同じ発音なんです。