同期の星・畑尾大翔選手
今日は懐かしい気持ちになった、ということで高校時代のお話を。
まずは畑尾大翔選手の話。
大翔はとにかく負けず嫌い。周りでプロになった人は、みんな世間的な常識からはかなり逸脱したレベルで負けず嫌いだったけど、そのなかでも大翔は相当でした。
どれくらい負けず嫌いかというと、体育のサッカーでオールタイムパワープレーを敢行するくらい。いや、そりゃ勝つだろうよ……。
そんなFC東京U-18所属の大翔が、学校でサッカーの実力を見せる機会といえば球技大会。我々サッカー部も女子にモテたくて必死です。いかに大翔を抑えて自分のゴールで勝つか。
改めて考えると、めちゃくちゃ難しいタスクだな。
しかし、大翔の姿が見えません。
「あれ? 大翔は?」
「大翔は世代別代表に呼ばれたから、そっち行ってるよ」
いや、それはずるいって。いないのに一番かっこいいじゃん。女子のサッカー部を見る目が、もう残り物を見る目なのよ。
そんな大翔ですが、一回だけ、本人も覚えてないと思いますが、印象に残る話をしていました。
それは自分の話ではなくて、FC東京U-18のチームメートの話になったときのこと。その選手はSくんといい、僕の地元で唯一ナショナルトレセン(全国から選抜された選手たちが集まるところ)に入っていて、初めて見る『こういうやつがプロになる』という人でした。
左右両足でキックオフゴールを決めるし、1人だけ倍速再生しているかのようにスルスルと相手を抜いていって点を取る。選抜チームで集まっても、みんながボールを集めてしまうような選手でした。
しかし、その後は伸び悩んでいるようでした。小学校時代を知っている僕たちは、Sくんがいかにすごかったかと話をしていると大翔が、
「周りから『当然プロになる人』と思われているのは、すごいプレッシャーなんだよ」
と、Sくんをかばうように言ったのです。
誰よりも負けず嫌いだけど、誰よりも仲間思いのキャプテンだなぁ……と今でも覚えています。