ダンボール猫を見た後輩の反応
なんとかダンボール猫の情報を一言足したかったけど、この流れでおはぎの画像を見せるのはやばい。これから作品を創り上げていく共演者から引かれるのを避けたい。
見せたあとをシミュレーションしてみます。
宮下「えっと……猫飼ってるって言うても…… これやねんけど……」
後輩「え? ダンボール?」
宮下「あぁ……うん。猫好きで飼いたいけど飼えなくて……だから……作った……」
後輩「………………」
いやいやいや。これは引く。
根暗のマッドサイエンティストが産み出したのはダンボールの猫でした。もう想像しただけで自分が気持ち悪かったです。
宮下「はいよ! 飼ってる猫これやで!」
後輩「え? ダンボール?」
宮下「猫飼いたくて堪らんから作ったった!」
後輩「なんっすかそれー!」
二人「わっはっはっは」
ってのが理想ですが、このテンションを出すには僕の人見知りフィルターを無くさないといけません。
そのためには、じっくり弱火で丁寧な時間を要します。
とにかく、おはぎを見せないでなんとか乗り越える方法を、自分の写真フォルダを彼から見えない角度でスクロールさせながら、頭をフル回転させて考えてたのですが、結局、何も思い浮かばなくて……僕は自分のスマホを後輩に渡して、おはぎの写真を見せました。
あーもういいですよ。全然引いてください。別におはぎ飼ってるのは恥ずかしいことじゃないし。
そもそも、たまたま好きになったのがダンボール猫で何が悪い? おはぎだって生きてる猫くらい可愛いし。
いや! そもそも、おはぎも生きてるんですけどね!
意味不明な逆ギレ感情が芽生えた僕に、後輩は「え? これ飼ってるんですか?」と聞いてきたので、
「せや!」
と関西弁で一番文字が少なくて勢いがある言葉で返事をしたら「ダンボールの猫? やば!」と言って笑ってました。
よかった。笑ってくれた。
……いや、今この原稿を書きながら気づいたけど、「やば!」の意味ってなんだったんだろう。直訳したら「キモッ」ってことかな? まあいいや。直で「キモッ」と言われなかっただけよかった。なにより一番恐れてた無言のリアクションは回避できたから。
「どうやって作ったんですか?」と聞かれたので「酔っ払いながらアマプラのバチェロレッテ見てて、推しが脱落して“なんやねん!!”って言いながらダンボール切ってたらできた」と、こうやって文字にしても意味のわからない作成秘話を話すと「意味わかんねー!!」と爆笑してました。
よかった。爆笑してくれた。
馬鹿にしてるのか、なんの笑いなのか、そんなことは関係なく、おはぎのことで楽しそうに笑ってくれてる後輩にうれしくなったので、僕は「実はおはぎ、彼女おるねん」と、おはぎのガールフレンド『ぼたん』を見せると「彼女いるんすか!?」と更に笑ってました。
よかった。地元の連れみたいな笑い方してた。
その日、帰宅した僕はおはぎとぼたんの顔面ガムテープ交換の日だったので、抱っこして新しいガムテープを貼ってキレイキレイにしました。
(定期的に古いガムテープから新しいガムテープに貼り替える作業を、僕は『キレイキレイ』と命名しました)
僕の飼ってる猫はダンボールです。
喋らないし動かない猫です。添い寝したら僕の寝返りで8割壊れます。でも、僕に癒しをくれて、おはぎが可愛いって言ってくれるおはぎファンがたくさんいます。
しかし今年の夏は日ざしが強く、暑い日が続きますね。
おはぎはベランダに出て日向ぼっこするのが大好きなんですよ。
ダンボールの色が日差しで焦げない様に、日向ぼっこの時間を決めないとです。
次回の『宮下雄也の「吾輩はダンボール猫である」』は、8月18日(金)更新予定です。お楽しみに!!
舞台「転生したらスライムだった件」
東京公演 8月11日(金)~14日(月)
日本青年館ホール
https://stage-ten-sura.com/index.html
トークイベント「今月の宮下雄也 vol.78」
テーマ:怪談ナイト
8月19日(土) 開場 24:00 / 開演 25:00
新宿ロフトプラスワン
出演:宮下雄也、反橋宗一郎、村上ロック(怪談師)、ぁみ(怪談家)、今立進(エレキコミック)ほか
https://peatix.com/event/3660710