配達員の現在地を“監視”し続ける厳しい目
利用者数、ドライバー(配達員)数も増加の一途をたどるUber Eatsですが、注文者とドライバー間のトラブル・クレームもたびたび発生しています。実はこれ、注文者の勘違いや知識が十分でないために起きていることが多いので、ここで説明させていただきます。
まず、私も多い時は1日に2~3回お叱りを受けることがあるのですが、皆さん、UberEatsのシステムを出前と同じだと思っている方がほとんどなんです。ですから、「遅い」「寄り道をするな」というお叱りを受けることが多いんですね。
そこで、UberEatsと一般的なデリバリーの違いを説明させていただきます。
一般的な出前の場合、注文が完了すると店で料理を作り始め、調理が終わると店に待機していたスタッフが配達へうかがうことがほとんどです。そのため、「料理を作る時間」と「店から注文者のところまでの移動時間」の合計が、料理到着までの時間となります。
一方、UberEatsの場合は、注文が完了したところでアプリが店の近くにいる配達員を探し始めます。そして近くにいる配達員には「配達依頼があります」とアプリを通じて連絡が入り、配達員はそれをみて依頼を受けるか拒否するかを選択し、依頼を受けた場合は「マッチング成立」となるのです。ここから配達員は料理をピックアップすべくお店へ向かい、そして料理を受け取り、お客様のもとへと向かいます。
つまり、一般的なデリバリーにかかる時間に、「配達員マッチングまでの時間」、「配達員が料理をピックアップするまでにかかる時間」がプラスされるため、みなさんが思った以上に時間がかかることがあるのです(お店の近くにいる配達員と、すぐにマッチング成立することもありますが)。
そう、UbeEatsという会社を通して、「外出せずに家で食事をしたい人」「配達の人件費を抑えたい店舗」「空き時間を有効に使って稼ぎたい人」をマッチングしているだけなのです。それぞれに主従関係はありません。
こういった事情を知らない方が多いので、この機会にぜひ正しい情報をインプットしていただければと思います。
システムでもう一つ、お客様からお叱りを受けるのが、GPSによる位置情報システムのトラブルです。
私はUberEatsで注文をしたことがないのですが、注文者は、パソコンやスマホで我々配達員が今どのあたりにいるのかを見ることができるそうです。そして「今、お店についた」とか「あと●分で到着する」ということが表示されるそうです。
しかしUberEatsでは、注文エリアに配達員が少ない場合、ひとつの店からふたつの料理を受け取り、異なる行き先へ配達することがある事実はあまり知られていません。
そのため、2軒目の配達先となった注文者にとって、我々の行動は意味不明の行動に見えるのでしょう。位置情報を見て「なぜ、店からまっすぐ自分のところへ配達に来ないんだ!」とお怒りになるお客様がたまにおられ、「寄り道するな!」となるわけです。
注文者のGPS追跡画面に一応、そういった注意書きは書かれているようなのですが……なにも見ないで「同意する」のボタンを押すのが当たり前の風潮の世の中ですから……。こちらといたしましても、アプリの仕様上、1軒目の配達が終わらないと2軒目の配達先がわからず、また、注文者とも連絡が取れないんです……。
世間ではゴールデンウイークをきっかけに憂鬱になる五月病がよくクローズアップされますが、UberEats配達員の中には、システムを知らない人から叱られ続けて四月病になる人がいるかもしれませんね。
とはいえ、正しい情報を身に着けた上でみなさまには楽しんでいただければ幸いです。それではまたヘロヘロになるまで漕ぐとしましょうか。