ジェイソン・ドミンゲス Jasson Dominguez 

このなかで最も若い20歳。5ツール(打、力、走、守、肩)をすべて有する規格外の選手として“The Martian”(火星人)というあだ名を与えられている、ドミニカ出身の外野手です。2019年に16歳で510万ドル(当時約6億円)というとんでもない金額で、国際フリーエージェントとしてヤンキースと契約をしており、その金額に伴う過度な期待値とプレッシャーを背負わされました。

当時からスカウトたちによる絶大な評価を受けてきたため、「(ヤンキースの永久欠番)ミッキー・マントルや、(現在のスーパースターである)マイク・トラウトらレジェンドになり得る」という正直、16歳にかけるには残酷すぎるレベルの比較をされることも(多少は話が大きくなってしまったと推察しますが)。

熱心なファンからも「現キャプテンのアーロン・ジャッジ選手と共に今後10年ヤンキースの中軸を担う」「複数のワールドシリーズに導く」といった(過激な)期待がかかったりと、とにかく「近未来のヤンキースの救世主」的な願望を一身に受けてきた存在です。

一方、その到底応えることのできない過剰な期待とは裏腹に、ここまでの道のりは決してスムーズではありませんでした。2020年には新型コロナウィルスの影響でマイナーリーグのシーズンが全休となり、育成期間が実質1年消え去ったり、毎年若干のスロースタートでメディアなどから(これもまた)過剰に批難されたりしてきました。

それでも18歳時の2021年には、MLB公式全体ランキング32位まで上りつめたものの、あまりにも高い閾値(しきいち)に到達するような圧倒的な成績を残せなかっただけに、相対的に期待、そして評価が下がった印象があります。

しかし、本人はまったくめげず、今シーズンはAAリーグ(マイナーリーグ組織で上から2番目のリーグ)で急激に調子を上げ、8月にはAAA(同組織で最もレベルの高いリーグ)への昇格を果たし、たった9試合後にはメジャー昇格を勝ち取りました。そして昇格後、即やったのがこれ!

メジャーでの初打席(しかも初スイング)で、殿堂入りが確実視される昨季のサイ・ヤング賞受賞者ジャスティン・バーランダー選手から、逆方向の痛打ホームランを放ちました。こんなストーリー、伝説の始まりに間違いない!

※ちなみに、メジャー出場3試合目にも素晴らしいホームランをかっとばしました!