ルーティンだった毎日に刺激がほしくて始めたコスプレ
――「推しとオタクの距離感を大事に」というのは素晴らしい考え方だなと思いました。複数の事務所からお声が掛かったそうですが、そもそもグラビアに興味はあったのでしょうか。
絃花 グラビアアイドルをやっている友達がいたので、そういう職業があるのは知っていたんですけど、興味はなかったんですよね。日常生活ではあまり目立ちたくなくて、胸をなるべく隠すような服装をしてました。
――そうなんですね。コスプレイヤーとしても活動されていたそうなので、今のお話と相反する部分があるなと思ったんですけど……。
絃花 たしかに、それだけ聞くとそう感じますよね(笑)。じつは女性のキャラクターじゃなくて、男装コスプレをしていたんです。小鳥みやびさんっていう男装のコスプレイヤーさんがいて、憧れを持っていたというのもあります。
当時は、アイドル育成ゲーム『あんさんぶるスターズ!』のキャラクターのコスプレをしていました。コスプレは趣味としてやっていて「憧れのコスプレイヤーさんに認知されたらうれしいな」という気持ちでやっていました。
――当時からWワークをされていたと思うのですが、大変でしたよね?
絃花 いえ、楽しかったです。保育園で栄養士をしていたということもあり、1日の流れが決まっている、刺激のない日々を過ごしていました。それで外部のコミュニティを持ちたいなと思って、部活感覚でコスプレをしてました。
「グラドル絃花みき」として決めていること
――現在は栄養士をやめられていますが、やめるという決断の背景にはどういった出来事があったのでしょう。
絃花 その頃はすでに事務所にスカウトしていただいて、グラビアアイドルとして活動していたんですが、バズってしまったのが仇となったのか、職場にSNSのことがバレてしまって……。保育園は教育の現場ということもあり、社員がSNSで顔を出していることがまずかったんだと思います。それで「(SNSを)やめられない?」と言われたんです。
――たぶん、グラビアの仕事をやめてほしい、という感じですよね。
絃花 そうかもしれませんね。ちょうどSNSが伸び始めていた時期だったので「これをやめるのはもったいないな」と思って、保育園の栄養士をやめることにしました。グラビア活動にやりがいを感じ始めてしまったというのも、この決断に至った理由の1つです。
――グラビアアイドルとして活動するなかで何が一番楽しかったですか。
絃花 ファンの方々との交流も楽しかったですし、自分で写真集を作ったりするクリエイティブ的なことも好きでした。
――写真集を作られていたんですね。今でこそグラビアアイドルが自分で写真集を作って、同人誌イベントなどで売る方がいらっしゃいますが、当時は珍しかったんじゃないですか。
絃花 そうですね、あまりいなかったように思います。コスプレ界隈からグラビア界隈に入ってきた私としては、自分で写真集を作るというのは、もともとコスプレ界隈にはあった文化だったので、自然なことだったんですけどね。
コミックマーケットなどで自分で作ったROMや写真集を頒布できることを知っていて、写真集に関する知識もあったので。クラウドファンディングで支援してくれた方のリターンを写真集にしたりもしていました。
――絃花さんが芸能活動をするなかで心がけていることはありますか。
絃花 SNSにおいて、PR系の案件は無闇にやらないということですかね。おかげさまで、SNSのフォロワーの数を見て案件系の依頼もいただいたりするんですけど、やらないようにしています。
――そうなんですね。
絃花 自分たちはお金として見られている……私のことを応援してくれているコアなファンが減ってしまうと思ってます。というのも、好きなインフルエンサーがPRばかりやっていると、私が“あ~……”と思っちゃうんですよ。それよりも今は、会社員としてスキルを身に付けたほうが、のちのち稼げると思いますし、私の将来性も広がり、なによりファンも傷つかないという考え方で活動しています。