若い世代を中心に人気のアーティスト、ずっと真夜中でいいのに。の『勘ぐれい』『綺羅キラー』、NEEの『不革命前夜』など数々のアニメーションMVを手掛ける、気鋭のアニメーション作家・こむぎこ2000さん。

こだわりを英語にするとSticking(スティッキング)。創作におけるスティッキングな部分を、新進気鋭のイラストレーターに聞いていく「イラストレーターのMy Sticking」。こむぎこ2000さんがアニメ制作を始めたキッカケ、作品を作るうえで意識していること、そして今後挑戦したいことまで、ニュースクランチがインタビューでいろいろと聞いてみました!

原体験は『千と千尋の神隠し』

――小さな頃から絵を描くのはお好きでしたか?

こむぎこ2000(以下、こむぎこ) 絵を描くことは子どもの頃から好きでした。絵だけではなく、モノを作ることが好きで、美術や図画工作の時間が好きな子どもではありました。ただ、授業以外で絵を描いたりはしていませんでした。

――原体験というか、記憶に残っているアニメや漫画の作品はありますか?

こむぎこ 記憶に強く残ってるのは『千と千尋の神隠し』です。祖父の家にビデオテープがあって、それをひたすら見てた気がします。暇があったら見てました(笑)。外で友達と遊んだりするのも好きでしたが、友達と遊べない日もあるじゃないですか。そういう日は『千と千尋の神隠し』を見ていた気がします。

世界観というか、“あそこに行ってみたいな”という気が子どもながらにしてたと思います。あとは、最後のほうで寂しくなるんですよ。歌も相まって。その感覚が好きで見てたのかもしれないですね。

――『千と千尋の神隠し』から影響を受けて何か描いたりはしたんですか。

こむぎこ それはありませんでした。見ていたのが小学生の頃で、実際に作品を作り始めるのは16歳の頃だったので。

――ではやはり、作品を作り始めたのは『君の名は。』を見てから?

こむぎこ そうですね。

――どんなところに一番衝撃を受けましたか?

こむぎこ いろいろあるんですが……今思えば、音楽が流れるシーンで掴まれてたような気がします。新海(誠)さんの作品は、すべて音楽を使った演出がうまくて。そういう部分に惹かれていたと思います。

当時、僕が一番好きだったシーンは、クライマックスでRADWIMPSの『スパークル』が流れて彗星がスーッって落ちるシーンですね。音楽と映像がとてもリンクしていて。当時の僕はなんでかわからないですが、あのシーンに異様に取りつかれてました。あのシーンが見たくて映画館に5~6回行きましたね。

――それで衝動的に「自分でも作りたい」となるわけですね。

こむぎこ そこからはすごい早かったです。僕は『君の名は。』を公開日に見に行ったのですが、その日に映画館を出て、その映画館を1つ降りたところに書店があったんです。そこでスケッチブックとシャーペンと技法書を買って、その日から絵を描き始めました。だから、僕が絵を描き始めた日ってハッキリしてるんですよ。2016年8月26日なんです。

――それくらい衝動だったんですね!

こむぎこ アニメーションを描く前はものすごく暇な高校生だったんで、“何かしなければ”という気持ちがあったような気がしますね。それが『君の名は。』という作品が持っている雰囲気というか、“何かしないと”に通じるものがあったんだと思うんですよね。瀧くんが好きな女の子を探しに、都会から田舎へ旅行に行くじゃないですか。ああいうシーンとかを見て、僕も“何かしなければ”っていう気持ちにさせられた感じがします。

――こむぎこさんの当時の気持ちとリンクしたんですね。

こむぎこ そうですね。当時の、16歳の自分とかなりリンクした部分はありますね。人生の一番見るべきタイミングに、この映画を見れた気がしています。見る年齢が違えば全然違う感想が出てきたと思いますね。今の僕が見て、同じように思えるかどうかはわからないです。

印象的なシーンからストーリーが浮かぶ

――作品を作るうえで一番こだわっている部分はどこですか?

こむぎこ MVを作る場合だと、音を使って絵を作っていくというのは意識しているところかもしれないですね。

――こむぎこさんはMVをたくさん作っていらっしゃいますが、歌詞よりもメロディーから発想していくことのほうが多いですか。

こむぎこ そうですね。感覚的なものが好きなんだと思います。何かを見るときでも、意味で感動するというより感覚的なもので感動することのほうが多いですね。

――別のインタビューで「音楽を聴いたときに頭の中に浮かんだ映像を中心にして広げて作品を作る」とおっしゃっていたと思うんですが、音から確定的なストーリーが頭の中に浮かぶんですか?

こむぎこ 音を聴いた時点ではストーリーは浮かんでないんですよね。印象的なメロディーを聴いたときに、抽象的なイメージ、「上への勢いがある」とか、そういうことが浮かんで、それが頭の中で粘土のような煙のような感じになるんです。そこにデザインを与えると一つの絵が出来上がって、それを軸にストーリーを組み立てていきます。

例えば、最初に1サビの頭で印象的なシーンが思い浮かんで、次にラスサビで別のシーンが思い浮かんで、そのシーンとシーンをつなげるには、あいだにどういうシーンを置こうかって考えて、どんどん柱を立てていって、ようやく完成するっていう感じですね。

――まず核となるシーンを描いて、そこから広げていく感じ。

こむぎこ そうですね。1つのシーンから作るというのは僕の特徴としてはあるかもしれないですね。テーマとか構造から作る人もいると思うので。

――『不革命前夜』は4分くらいの作品ですが、アニメ1本分くらいの満足度がある作品だと思いました。あれは完全に頭の中でストーリーが出来上がっていたんでしょうか?

こむぎこ ストーリーという意味でいうと、曲がもっている構成というのがあるんですよ。その構成は固定されているので、それがストーリーの土台にはなっているかもしれないですね。曲にもストーリーがあって、そこからすごく逸脱したことはできないので。

NEEの曲の構成が複雑なので、複雑なストーリーがやりやすかったというのはありますね。MVだと展開を作りきれずに終わることが多いのですが、この曲は展開を広げやすい曲だったというのは大きいと思います。

〇不革命前夜 - NEE