初心者向けのイラスト講座の動画が話題となり、登録者数12万人を超えるYouTubeチャンネル「みにまるコミック」。その運営をしているのが漫画家のみにまるさんだ。
こだわりを英語にするとSticking(スティッキング)。創作におけるスティッキングな部分を、新進気鋭のイラストレーターに聞いていく「イラストレーターのMy Sticking」。今回は、みにまるさんに漫画家を志したキッカケから、YouTubeチャンネルを始めた理由、動画を作るうえで大切にしていることなどをインタビューしました!
“女の子をかわいく”描きたい
――まずは、漫画家を目指そうと思ったキッカケをお伺いできますでしょうか。
みにまる 今思うと『週刊少年ジャンプ』がキッカケかなと思いますね。子どもの頃にジャンプをずっと愛読していたので。荒木飛呂彦先生や鳥山明先生の作品を読んでいると感じる、血が沸き立つような感覚が好きで、自分も描きたいなぁと思うようになりました。
特に荒木飛呂彦先生が大好きなんですが、作品を読んでよく「雷に打たれたような衝撃」とか形容するじゃないですか。本当にそんな感じの衝撃を子どもの頃に受けました。そこから漫画の模写を始めて、ずっと続けて今に至るというような感じです。
――学校とかでも漫画を描いてたりしたんでしょうか?
みにまる ノートの隅っこに描いたりしてましたね。
――友達に「〇〇のキャラ描いて」とか頼まれたりしませんでした?
みにまる 隠れて描いてたので、それはなかったですね(笑)。今思い出したんですが、運動会で使う大きな応援パネルを描いたりはしましたね。絵がうまいというのは友達には知れてたみたいです。
――絵を仕事にしたいと思うようなタイミングはあったんでしょうか?
みにまる 大学に行ったときに、自分が勉強したいことが見つからなかったのです。そんなときに絵を描いたほうが自分を表現できるんじゃないかなと思って、そこからちゃんと漫画を描き始めたような気がします。
――みにまるさんのイラストは、とても線が柔らかく優しい感じがしますが、描く際のこだわりや、自分らしさの表現方法ってあったりするんでしょうか?
みにまる 何が自分らしいか、というのは自分ではわからないことが多くて、特にこだわっているところはないですね。女の子を描くのが好きなので、“女の子を可愛く”ということを意識して描いてるくらいです。
――自然に描かれてるんですね。
みにまる こだわりすぎると、新しい表現を取り込めなくなって時代に取り残されてしまうのではないか、という不安があるので。いい方法を見つけたり、こういう描き方があるんだと思ったら、すぐに取り入れられるような感覚を持っていたいっていうのが、逆にこだわりかもしれないですね。
――イラストを描く環境は、どのようなものを使用されてるんでしょうか?
みにまる パソコンと液晶タブレットですね。
――完全にデジタル作画なんですね。
みにまる そうですね。昔、ゲームの同人誌を描いてたんですが、その頃にデジタルに移行しました。それより前はコピックを使ったり、全てアナログでした。
――デジタルとアナログって描き心地とかも異なると思いますが、移行されるときに苦労とかされませんでしたか?
みにまる 最初はアナログの描き味が再現できないのに戸惑いました。なので、最初は線画をアナログで描いて、それを取り込んでからデジタルで描くという、とても面倒な方法をとってたんですけど、それがとにかく面倒くさかったので(笑)。デジタルに慣れていかないとと思って描き続けました。結局は慣れかなと思います。
液晶タブレットはツルツルで、紙の感触とは引っかかりが違うので、「ペーパーライクフィルム」っていうものを貼ったりとかしてたんですけど、何年か経ったらそれも要らなくなって、ツルツルでも描けるようになってきたので、やっぱり慣れだと思います。
――機材を自分に合わせるのではなく、自分を合わせにいく感じですね。
みにまる そうですね。人間はなんにでも慣れていくと思うので。描けば描くほどうまい具合にフィットしていくんじゃないかなと思います。
――作業効率としてはやはりデジタルのほうがいいですか?
みにまる デジタルのほうが楽ですね。今でも、時々アナログで描くこともあるんですが、やり直しができないっていうのが一番大変ですね。アナログで描くと気を使って神経張りつめて、一本一本の線を大事に描かないといけないんですが、デジタルだとやり直しがきくので、初心者の方も挑戦しやすいんじゃないかなと思います。
――逆に終わりがなくなっちゃうってことはないですか?
みにまる あぁ~、確かに。気になりすぎると、どこまでも直してしまうっていうのがありますね。デジタルに移行したての頃は、そういうことが多かったんですけど、最近は良く言えば大雑把になってきて、あんまり画面を拡大しないで描くようにしています。遠目で見て特に気になる場所がないなと思ったら、拡大して線が途切れてたりガサガサだったりしても“いいかな”って思うようになってきました。