小学生の頃からブラックミュージックが好き

――清水さんがこれまで大切にしてきた座右の銘はありますか?

清水 私は岡本太郎さんが大好きなんです。「人に理解されたり、喜ばれようなんて思うな。むしろ認められないことを前提として、自分を猛烈に突き出すんだ」と「絶望の中に生きることこそが、おもしろい。そう思って生きる以外にない、それが本当の生きがいなんだ」あとは「純粋であればあるほど人生というものは悲劇だ。人間はすべて矛盾の中に生きている。だから矛盾に絶望してしまったら負け、落ち込むのだ。それよりも、矛盾の中で面白く生きようと、発想を転換することはできないだろうか」が特に大好きな言葉です。

――ステキな言葉ですよね。しかもスラスラ出てきましたね。あいりさんが岡本太郎さんを好きになったキッカケは?

清水 10代の頃、姉の家に行ったときに『壁を破る言葉』を見つけて、読んでみたら惹き込まれてしまいました。私の中で大きな指針になっている大切な言葉を、岡本太郎さんからいただいてます。

――これまでの話を聞いていて思うのですが、あいりさんはお姉さんから強く影響を受けているんですね。

清水 そうですね、姉もすごく大切な存在です。

――SNSを拝見していると、あいりさんからサブカル的な素養と言うか、音楽や映画への愛があふれているような気がするんですけど。

清水 え!? 本当ですか? 恥ずかしい(笑)。そんなに詳しくはないですけど、音楽も映画も好きです。音楽に関しては姉の影響で、小学生の頃からブラックミュージックを聴かされて育ちました。中学では周りのみんなが大塚愛さんとか倖田來未さん、西野カナさんとかの流行りの音楽を聴いていたんですが、私はレゲエやブラックミュージック、ヒップホップばかり聴いていて、当時はBeenie Man(ビーニ・マン)にハマっていました。

※「キング・オブ・ザ・ダンスホール」と称されるジャマイカ出身のレゲエDJ・シンガー。

――中学生でBeenie Manを聴くのはすごいですね(笑)。

清水 クラスの誰とも話が合わなくて……でも私は本当にカッコいいと思ってたんで、友達が放送部をやっていたから、Beenie ManのCDを持って行って、校内放送でかけてもらったんですよ。そうしたら先生に呼び出されて「変な音楽は流すな」と怒られてしまって……。

――あはははは!(笑) すみません笑ってしまって。

清水 (笑)。先生もびっくりしたんやろなと思います。あとは当時好きだった男の子にBeenie Manとか、Akon(エイコン)とかDiana King(ダイアナキング)※※とか、そのあたりのCDをいっぱい貸したら、返してもらうときに「ごめん、なんて言ってるかわからなかった」と言われてしまって、そこからあまり声を大にして言わないようになりました…(笑)。

※「Locked Up」などのヒット曲で知られる、セネガル出身、アメリカ合衆国を拠点に活動するのR&Bシンガーソングライター、音楽プロデューサー。

※※ジャマイカ出身のレゲエ、R&B シンガー。「Shy Guy」などのヒット曲で知られる。

――悲しいけど面白いエピソードですね…(笑)。好きな映画はなんですか? 飼ってらっしゃる猫ちゃんの名前を「ミア」にされていて、『パルプ・フィクション』がお好きなのかなと思ったんです。

清水 その通りです(笑)。『パルプ・フィクション』はすごく好きですし、香港映画 『インファナル・アフェア』の リメイクである『ディパーテッド』や、クリント・イーストウッド監督の『ミスティック・リバー』も好きです。『トム・アット・ザ・ファーム』など、グザヴィエ・ドランが監督を務める作品も好きですね。グザヴィエ・ドランの作品は暗い話が多いんですけど、心がえぐられるような感覚が好きで、新作が公開されると見に行ってました。

――たしかに、『Mommy/マミー』もそうですけど、ヘビーな作品が多いですよね。

清水 そうなんです。昔、事務所にいたスタッフさんに、あまりにも暗い映画ばかり見てるから暗いんだよと言われて、キャメロン・ディアスが出演している『メリーに首ったけ』をオススメされました(笑)。それはそれですごく面白かったですけど、見る映画で性格は変わらないよなぁ……と思いました(笑)。

▲猫の名前でよく『パルプ・フィクション』が好きってわかりましたね(笑)

『どうする家康』出演の反響は大きかった

――今後の具体的な目標はありますか?

清水 私自身、あまり無理せず、のんびり楽しくやっていきたいというのが一番の思いではあるのですが、ただもう30歳になので、そろそろ次の写真集を出せたらいいなとは思ってますね。

ただ誤解されたくないんですが、絶対に芸能界でのし上がってやるとか、そういう野心みたいなものは特になくて。もちろん引き受けたお仕事は、手を抜かずに全力でやるというスタンスではいるのですが、“将来は女優になりたい”とか、“バラエティで一番になりたい”とかはないんです。

――そこも自然体なんですね。

清水 でも、少し前に大河ドラマ『どうする家康』に、家康の側室候補役で出させてもらったことがあって、もっと時代劇に出演してみたいなと思いました。これまで時代劇に出るなんて思ったこともなかったんですけど、すごく刺激的だったし、楽しかったんです。

――『どうする家康』に出演されて周囲からの反響はありましたか。

清水 もうびっくりするぐらいありました。一言しか言ってないのに、こんな反響あるんだ!って。

――Xのトレンドワードに登場するくらいでしたもんね。

清水 監督が女性の方だったんですが、『上田と女が吠える夜』で「関西弁あいうえお」をしてるのを見て、この役はあいりさんだと思ってオファーしてくださったみたいで。女性に選んでもらえたというのも含めて、すごくうれしかったです。なんでも劇中で「関西弁あいうえお」をする案もあったそうで、「実現できなくてスミマセン……」とスタッフの方から丁寧に謝られたのですが、逆に「そんなことで由緒ある大河を汚さないでください!」と言っちゃいました(笑)。

――素晴らしいエピソードトーク、ありがとうございます(笑)。では最後に、プライベートの目標もお聞きしたいです。

清水 今は、飼い猫のミアがちょっとでも快適に走り回れる広さの家に引っ越すことですね。1Kの家に住んでいるのですが、ミアが走り回って壁にぶつかったりしているのを見ると申し訳ないなと思うので、大きな家に引っ越したいです。

(取材:川崎龍也)


プロフィール
 
清水 あいり(しみず・あいり)
生年月日:1992年12月17日
血液型:O型
出身地:大阪府
趣味・特技:汗だくになること・キックボクシング・映画鑑賞・音楽鑑賞
X(旧Twitter):@airishimizu、Instagram:@shimizuairi