王道のグラビア仕事は私には務まらない

――実際にグラビアをやってみて感じた、グラビアの魅力はどんなところにありますか?

清水 すごく失礼な言い方かもしれないんですけど、グラビアアイドルという職業は、芸能界の中では舐められやすいというか、地位的には低く見られがちな職業だなと感じているんです。でも、それを経験したからこそ、今こうして幅広くお仕事ができていると思ってます。グラビアアイドルのお仕事は楽しいんですが、私がすごく楽しいなと思ったのが、いろんなシチュエーションを経験できること。

写真撮影やDVDの撮影で、普通ではありえないようなシチュエーションってあるじゃないですか。私はシュールなのが大好きだから、そのシチュエーションに立たされると、「うふふ」ってポーズを取りながら笑っちゃうんですよ。「いや、普通こんなところで、こんな水着を着て、こんなポーズしないやん!」ってツッコみたくなるところが、非現実的で面白いなと思ってます。

――たしかに…(笑)。でもこう聞くと、あいりさんはご自身のことを俯瞰して見られているんですね。

清水 見られているのかな…(笑)。

――先ほど、グラビアの見られ方のお話もありましたけど、舐められがちだったり、偏見があったりする、グラビアのイメージを変えたいという思いは清水さんの中であるのでしょうか?

清水 うーん、私一人の力ではできないことだと思ってるんですけど、ただありがたいことに「清水あいりちゃんみたいに、バラエティに出られるようなグラビアアイドルになりたい」と言ってくれる方が増えてきたので、そのような方々の希望になっていたらいいなという思いはあります。そういう方が増えていけば、グラビアアイドルの見られ方や偏見も少しずつ変わってくるんじゃないかな。

――今のお話を聞いていると、あいりさんは背中で語るタイプなんだなと感じました。

清水 確かにそうかもしれないです。こうやってグラビアアイドルを代表して、みたいな感じでいろいろ話しましたけど、そもそも自分ではグラビアアイドルとしての実績は、ほぼ皆無だと思ってるので(笑)。

――いえいえ! そんなことはないと思いますよ。でも、別のメディアのインタビューでは、今はお仕事の比率としてバラエティが8に対してグラビアが2になってる、という話もされていましたよね。

清水 そうなんですよ。ただ、結果的には私が向いていたのは、このスタイルだったんだなと思ってます。写真だけで魅力を伝えるのって、とても難しい作業なんですよ。説明はできないし、どんな子なのかもわからない。

私は喋りとか表情とか動きがあったほうが、自分の魅力を上手に伝えることができると感じています。王道のグラビア仕事は私には務まらないんじゃないか、というのは早くに察しましたね。

――ご自身でそう思ったのは、どういうタイミングだったんですか?

清水 グラビアアイドルの王道シチュエーションでもある、“砂浜を走る”とか“明るく元気に飛び跳ねる”ということをしていると、自分でもなんか無理しているなとは感じてたんです。明るい太陽みたいな存在感というよりは、湿ってるナメクジタイプなので。めちゃめちゃシュールで不思議なシチュエーションのほうがやっていて楽しいですね。

▲湿ってるタイプなので王道のグラビアは私には務まらないなって

ピース綾部のひと言が転機に…

――あいりさんの転機となった出来事はありますか?

清水 AbemaTVで『妄想マンデー』というバラエティ番組に初めて出させてもらったときですね。最初は頑張ってハキハキ喋ろうと思ってたんですけど、スタジオが狭かったので、普段の私の地であるウィスパーボイスな感じでのんびり喋ってみたら、いつもと反応が違って。その感じでセクシーなポーズとか、セクシーな関西弁を言ったりしたら笑いが起きたんです。初めて得た感覚でしたね。

――手応えがあった瞬間だったんですね。

清水 手応えというよりか、達成感に近い感じですね。それまではバラエティに出ても「ハキハキ元気よく喋って!」とか「大きな声で!」と言われることが多くて、自分から「バラエティに出るグラビアアイドルってこうしなきゃいけない」という固定観念に縛られていたと思うんです。それが、無理せず自分の地で出てみたら、今までにない達成感があったんです。

でも、その達成感は自分の中だけで、こんな感じで大丈夫なのかな…? と思っていたら、もう一度番組に呼んでいただいたときに、MCのピースの綾部(祐二)さんから「あの感じでよろしくね」と収録が始まる前に言ってもらえて。初めて自分の存在を受け入れてもらえた気がしましたし、「あ、これでいいんだ」と自信が持てた瞬間でした。

――今のあいりさんの活躍に、綾部さんからの言葉があったなんて。

清水 本当に何気ないひと言だったと思うんです。でも「無理しないでいいんだよ」と言ってもらえた気がして。それ以降は、無理にキャラを作らないスタンスになって、それで何か言われてもしょうがない、と割り切ることができました。そこから、無理をしていない自分で、地上波の番組にたくさん呼んでいただけるようになったので、やっぱり大きな転機でしたね。

――なるほど。バラエティ番組に出ている清水さんは、変に力が入ってなくて、それでいてトークのネタや、例えば「関西弁あいうえお」など、いろいろ用意しているという印象でした。

清水 ありがとうございます。ただ、そんなにガチガチに用意していくわけではないんです(笑)。

――ええ! それじゃあ天才じゃないですか!

清水 いえいえ(笑)。もちろん、ある程度は想定していくんですけど、スタジオには百戦錬磨の方々がいるわけじゃないですか。その方たちを信頼しているからこそ、私が失敗したとしても、誰かが拾ってくれるだろうし、突っ込んでくれるだろうから、何言ってもいいだろうという気持ちはありますね。

例えば、くりぃむしちゅーの上田(晋也)さんも、まだここまでバラエティのお仕事が増える前から、CSの『上田ちゃんネル』、今は『上田と女が吠える夜』でお世話になっているんですが、「じゃあ、〇〇やってみようか」と急に振っていただいたりするんです。そのときは追い詰められつつ、でも追い詰められたからこそいいものがたまに出たりとかするんですよね。