決勝戦で一本勝ちを狙わなかった理由

――福島さんは昨年3位でした。今回改善したところはどんな点なんですか?

福島 足の手術をしたので、いろんな動きができるようになったのが一番でかいです。あと、昨年の大会では、一発目で全身筋肉痛になって、2試合目も這って出て、(試合後)マットから出て5分ぐらい立てなかったぐらい疲れたんですよ。

今年は、それを改善しようと思って……。腕の力を強化するため、スパーリング1本目から全力で握ることにしました。 腕をパンパンにしながら、2本、3本とこなしていったら技術も上がっていくじゃないですか。そしたら試合ではまったく疲れない。アジア選手権で優勝したときも、NO筋肉痛でしたね。

――今大会中、勝っていくうちに「いけるかも!」という思いはあったんですか?

福島 ありましたね。決勝は、クローズドガードという有利なポジションで果敢に攻めたんですけど、さすがに途中から疲れちゃって。優勝だけを考えてレフリー判定に持ち込みました。

大会中は焦る場面もあったんですけど、落ち着いてやれたし、トライフォース柔術アカデミーの仲間たちが「練習でやったまんまの感じで出てたね」と言ってくれて、すげえうれしかったですね。

――福島さんは準決勝までオール一本勝ちでした。焦って一本を決めたくなると思うのですが、その熱くなる気持ちを抑えたんですね。

福島 普通にやっても“勝つな”とは思ったんですけど、こんなときこそ落とし穴があるんじゃないかと思って、最後は冷静に、しっかり時計を見ながらやりました。

――なぜ、そこまで落ち着いて試合を運べたと思いますか?

福島 力を抜くために笑おうと思って意識していると、すごくリラックスできました。ただ、岡田さんと玉木さんが一回戦を勝ったときは、バチクソに緊張しはじめましたけどね。

あの選手権って、一試合でも勝てばアメリカの大会でも優勝するくらい価値があるらしいんですよ。難しいかもな……と思っていたんですけど、やっぱりお二人はすごい。勝った瞬間、“俺が負けたら終わりだな”と思いました。でも、試合が始まってからは緊張が消えて、冷静になれましたね。

――岡田さんや玉木さんの強さはどこなんでしょうか?

福島 一緒に練習させていただいたこともあるんですけど、僕の仕事よりも1000万倍以上も忙しいのに、週6で練習をされていたみたいで。しかも一緒に練習をしたあと、さらに1時間ほど、別々で練習していたんですよ。

それが作ってる感じではなく、ガチで好きで練習してる感じだったんです。それを見たときに、やっぱり“すげー”って思いましたね。大会中も岡田さんから「絶対に優勝してくださいね」と声をかけていただきました。うれしかったです。

▲多くの芸人仲間が福島を祝福してくれたという

相方の熊谷はフィジークの大会にエントリー

――熊谷さんは、柔術をする福島さんの体や顔つきの変化は感じていましたか?

熊谷 体も変化がありましたし、顔も「やるぞ!」とみなぎっていましたね。もともと持ってたポテンシャルだと思うんですけど、やっぱり根性がすごいので、(今大会でも)そこが花開いたと思うんですよね。「負けない」という気持ちが誰よりも優れていると思います。

――福島さんが柔術に挑むなか、熊谷さんはフィジーク(鍛えた体の美しさを競う)の大会に挑まれたそうですね。

熊谷 (福島が)日本チャンピオンになった時期に、マネージャーから「熊谷さんも鍛えて、40代のいい体コンビになったらどうですか?」と言ってくれて。「いいねー!」と。そこから8か月後に1回目の大会がありました。

――結果は?

熊谷 満場一致の最下位でした!

――(笑)。

熊谷 審査員さんも笑っちゃってましたから。それで、半年後くらいにまた出て……。

福島 それも満場一致の最下位でね。

熊谷 真剣に臨んだんですけどね〜(笑)。

福島 しっかりサポートしてくれるチームもあったんですけど、全員を裏切りましたから。筋トレをサボって、しっかり酒も飲んでましたから。

熊谷 いやいや、やってたけどね〜。

――今年も11月に大会があるのだとか。

福島 大会前なのに昨日もビールを飲んでましたよ。意思が弱いんだよな。

熊谷 僕が2人いればいいなと思うんですよね〜。でも、3回連続最下位には絶対になりたくないです! やっぱり筋肉も一歩ずつ。4月から週5~6でやっていて、自分では変わってきたなと思うんですけど、もうちょっと筋肉をつけていかなきゃとは思っています。頑張りたいですね。

▲果たして、今回の熊谷は生まれ変わっているのか…?