ギャルラッパー・アーティストとして活躍しているPiNKIIこと、ナタリアなっちゃん。アメリカ・ミズーリ州の小さな町で育った彼女は、アメリカにいながら日本のポップカルチャーに魅了され、これまで何度も来日を果たしている。これまではロサンゼルスを拠点に活動していたが、本格的に日本で活動することが決まった。
日本人以上にギャル文化をこよなく愛し、また世の中に広めていきたいと語るナタリアなっちゃん。ニュースクランチでは日本のポップカルチャーに興味を持ったキッカケから、ギャルとしての矜持までインタビューで聞いた。
「ヤマンバ」が日本にハマったキッカケ
――ナタリアさんはアメリカ人でありながらも、日本のポップカルチャーに精通されていますよね。日本の文化に興味を持ったキッカケから教えてください。
ナタリアなっちゃん(以下、ナタリア) 父親がよくアジアに仕事で行っていたので、アジアの文化には小さい頃から触れていたんですけど、中学生の頃に『FRUiTS』という雑誌に出会って、日本にカワイイ系のファッションがあることを知って興味を持ちました。アメリカに日本のファッションを紹介している本があって、そこで初めて日本に「ヤマンバ」という文化があることを知ったんです。
他人とは違う派手なファッションに憧れていたのですが、アメリカで住んでいたミズーリ州では、派手なファッションをしている人がいなかったので、メイクがアートみたいで自分らしく表現しているヤマンバに惹かれていきました。
でも、当時は中学生だったので、そういう派手なメイクでお出かけしようとすると母親から反対されて、しばらくはギャルから離れた時期もあったんですけど、数年後、日本に来たときに、美容の専門学校に通っていたこともあって、もう一度好きになりました。
――じゃあ、美容系の仕事にも興味があったんですね。
ナタリア ありました。ずっと音楽をやりたかったんですけど、もういい歳なってきたから、ヘアメイクならできるかなって。でも、やっぱり音楽をやりたくなるんです。それでヘアメイクを諦めました。日本にいたとき、周りのみんながギャル語を喋っていたこともあって、自分もギャルになってきちゃって…(笑)。
――話し方にもギャルが入ってますよね(笑)。日本を初めて訪れたのは15歳の頃だそうですね。
ナタリア そうですね。また落ち着いた感じの白ギャルが流行っていた頃でした。
――どういうキッカケで訪れたんですか?
ナタリア 日本語教室へ通うために訪れました。でも、先生がキリスト教徒なので、服装に厳しくて好きなファッションができなくて残念でした。キャミソールとか肌の露出がある服を着ると「日本人はそういう肌を出した服装に慣れてないから、上着を着なさい」と言われて(笑)。
109で働いてギャル語も覚えました
――実際に日本を訪れて、感じたギャップはありましたか?
ナタリア 日本に来た頃は気づかなかったんですが、アメリカに戻って気づいたことが、日本人って知らない人にあまり話かけないということ。アメリカだと、コンビニの店員さんから「パーティーへ行くんですか?」とか「あなたの髪の毛カワイイですね」って聞かれるのが日常なんです。日本でアメリカと同じようなことをしたら、キョトンとされて文化の違いを感じました(笑)。
――たしかに、コンビニの店員さんとそういう会話はしないですね。
ナタリア それも日本の文化だからリスペクトしたいと思っています。私は自分の文化を他の人に押し付けることはしないですし、私から話しかけなかったら大丈夫かなって。でも、日本人って酔っ払うと饒舌になりますよね。真面目そうなサラリーマンが英語で話しかけてくるんですよ。その違いには最初びっくりしました。
――日本語はどうやって学ばれたんですか?
ナタリア 昔から日本の音楽が好きで、日本の曲を聴いたりして勉強していました。でも独学では限界もあったので、高校の頃に日本語教室に通っていました。日本に来てからも日本語学校で勉強して、日本人と話す機会が増えていくにつれて自然と覚えました。あと、109で働いていたこともあるんですよ。それもあって周りにギャルが多かったので、ギャル語も身についていきました。
――アメリカでも日本のカルチャーが好きな人が多いですよね。
ナタリア 私が子どもの頃は、住んでいたところも田舎だったので日本の文化、例えばアニメや漫画が好きな人は少なかったです。最近まではロサンゼルスに住んでいたので、アニメだけではなく、日本の痛車なんかも流行っているんですよ。
――へえ! ちなみに、初めに好きになったアニメは覚えていますか?
ナタリア 『東京ミュウミュウ』です。アメリカでは朝5時ぐらいにやっていました。あまりアニメは見ないですが、アニメキャラは可愛くて好きです。あとは『美少女戦士セーラームーン』もよく見ていました。学校の友達とセーラームーンごっこして遊んだり(笑)。あとは『進撃の巨人』や『ONE PIECE』のようなアクション系のアニメもテレビでやっていたので、アメリカでも好きな人が多いと思います。