イタリア出身の日本在住コスプレイヤー・ユリコタイガー。イタリア人とは思えないほど日本文化に精通し、以前出演した『マツコの知らない世界』(TBS系)では、アニソンについて熱く語り話題を呼んだ。また、アニソン以外に、漫画や歌手やタレントなどにも造詣を持ち、コスプレイヤーだけではなくグラビアアイドル、YouTuberとマルチに活躍している。

そんな彼女に、日本のアニソンや漫画などに興味を持ったきっかけや、現在の活動、今後力を入れようと思っていることなどについて話を聞いた。

▲シャッターを押すたびにポーズを変え「可愛く撮れてますか?」と楽しそうに撮影が進んだ

オタクだった父親の影響でアニメ・ゲーム好きに

――ユリコさんのYouTube動画を拝見したところ、すごく日本語が上手だなと思いました。日本に来られて何年目なんですか?

ユリコタイガー(以下、ユリコ) 2013年から住んでいるので、10年目になります。

――長いですね! 10年前、日本語は話せたんですか?

ユリコ 話せなかったです。カタコトの日本語と、アニメで学んだ「お兄ちゃん大好き」っていうセリフしか知らずに日本に来ました(笑)。それに、当時はスマホがあまり普及していなくてガラケーで、GoogleMapもなかったから大変でした。だから、それからは日本語学校に通って勉強を始めました。

――どれくらい通われていたんですか?

ユリコ 外国人向けの学校に1年くらい通いました。おかげで日本語は中レベルくらいまで話せるようになったんですけど、その頃にモデルの事務所にスカウトされて「(日本語を)間違えていたほうがカワイイから」っていう理由で学校を辞めさせられちゃったんです。だから、変な日本語を話しちゃいます(笑)。

――そんなことがあったんですね! まったく日本語が話せない状態で日本に来た経緯を教えてほしいです。

ユリコ 一番最初のきっかけはお父さんだと思います。お父さんはパン屋さんをやっているんですけど、ゲームオタクだったんです。だから、3歳の頃から任天堂やプレステなどで普通の子は絶対に持っていないゲームも持っていて、鉄拳やソニックにハマって、それから私はオタクルートに入ってしまいました。

あと、アニメの『犬夜叉』からも日本が気になるようになりました。「鬼や妖怪ってなんだろう」ってところから、もっと深く日本を知りたくなって。小学生の頃は日本について学ぶために、本屋さんに行って調べたり、お父さんと一緒にフランスまで漫画を買いに行ったりしました。

イタリアは日本の文化があまり入ってきていなかったんですが、フランスは日本の文化への愛が強かったので、よくお父さんと一緒に遊びに行ってCDを買ったりとか。15年前はCDや写真集がめちゃくちゃ高くて、8000円~1万円くらいしていました。

▲変な日本語を話しちゃいます…とは謙遜で、難しい言葉を挟みながらとても流暢な日本語を話す

――お父さんがオタクでよかったですね!

ユリコ そうです! でも残念ながら、あの頃は周りから「なんで漫画を読んでいるの? この子変だね」って目で見られて、あまり友達がいませんでした。それでいじめられた経験もあります。そんな状況でも、私は10歳の頃から「日本に行く」って自分で決めていて、ちょうど11歳になったときに「ユリコタイガー」と名乗ることにしました。お父さんは「いつか(日本に行くのを)諦めるだろう」と思っていたみたいですが、私が14歳でコスプレを初めて、18歳で日本に行くのを見て、逆に諦めていました(笑)。

――お父さんもオタクだから「行くな」とは言えなかったんでしょうね……。18歳で日本に来たということですが、初めて参加した日本のコスプレイベントは覚えていますか?

ユリコ 2013年2月に開催されたワンフェス(ワンダーフェスティバル)でした。日本のコスプレイベントを検索したら、一番開催日が近かったのでワンフェスに行ったんです。あのときは「こんなにセクシーなコスプレイヤーがいるんだ!」ってびっくりしましたね。その次は、8月のコミケ(コミックマーケット)に参加して、スーパーソニックをやりました。

――そのときはブースは出されなかったんですか?

ユリコ あの頃は、事務所から個人ブースは出さないように言われていて。だから、今年(2022)の冬コミが初めてなので楽しみです。日本の暑さがあまり得意じゃないので、コミケは冬のほうが絶対にいいですね(笑)。