大雪、ゲリラ豪雨、地震……我々は、異常気象や天災が身に降りかかりそうになったとき、ようやく焦りだす。それではダメだ。今年こそ、事前に知識を蓄えて準備をしておきたい!

今回は、24時間365日、天気・気象情報を生配信している『ウェザーニュースLiVE』の気象解説員(気象予報士)で、地震にも精通している山口剛央さんに、2023年12月に気をつけるべきこと、天気に関する疑問をぶつけてみた。

▲山口剛央【WANI BOOKS-NewsCrunch-Interview】

南岸低気圧というキーワードには要注意!

――12月からの天気の特徴を教えてください。

山口 今年は、(インタビュー時点で10月末)この暑さに代表されるように、寒気(かんき)が入らず、11月もしばらく気温が高くなりそうなんです。とはいえ、11月後半や12月になると、北極から寒気がごそっと入ってくるので、温かい気候から一気に震え上がる寒さに移行するでしょう。

今のところ暖冬予想なんですが、12月には、気温が急降下するタイミングがあると思います。特に雪の多いエリアだと、いきなり大雪になる可能性もあって怖いです。

――暑さ寒さのグラデーションがないんですね……。

山口 今年も日本海の海水温がちょっと高いんです。極端な話、海水が温かいと、湯気がたくさん供給されて、雪雲の元になる水蒸気がどんどん供給されます。そこに寒気が入ると雪雲が発達し、それが日本海側にかかって大雪になるんです。

――都心でも大雪になることが多々あります。雪に慣れない我々が前後で気をつけるべきことはありますか?

山口 関東の太平洋側は、今年のような暖冬のとき「南岸低気圧」が来やすくなります。その際、雨になれば「寒いよね」で済むんですけど、ひとたび雪に変わると、東京でも10センチ、20センチは平気で積もる危険な低気圧です。南岸低気圧というキーワードは要注意ですし、覚えておいたほうがいいと思います。

▲暖冬のときには「南岸低気圧」に注意する必要があります

――今年のニュースでよく耳にするかもしれませんね。

山口 今年は、1997〜1998年以来の大規模なエルニーニョ現象が起きると予想されています。当時も東京で1週間のうちに3回も大雪が降りました。97〜98年は暖冬と言われていた年で、今年も暖冬予想。状況もよく似ています。

――もちろん、すべて警戒するべきなんですが、冬のニュースで流れる警報や注意報などで、特に覚えておくべきキーワードはありますか?

山口 冬は「暴風雪警報」と「大雪警報」ですね。暴風雪警報が出るのは、だいたい北海道や東北なんですが、この警報が出ると猛吹雪になります。いわゆるホワイトアウトで、前が見えなくなるので「外出を控えてください」というレベルです。

大雪警報は、単純に降雪・積雪のこと。私のイメージですが、この警報が東京都心に出て10センチ積もれば、何百人と怪我人が出ると思います。

――警報や注意報系は危ないんですね。

山口 注意報は、まだ警報の前段階で「注意する」くらいのイメージです。もちろん、大雨特別警報などが軽いわけではありません。冬に出てくる警報は非常に重く、外に出ると被害に巻き込まれる可能性がある、と認識したほうがよいと思います。

――近年、ゲリラ豪雨も多い印象がありますが、事前に予想できるものなんですか?

山口 例えば、前日の段階で「明日の夕方〇時に〇〇市でゲリラ豪雨が来る」という予想をするのは難しいです。ゲリラ豪雨は積乱雲が発達して起きるのですが、この積乱雲が発達する時刻が近づけば近づくほど、予報の精度は上がっていきます。

『ウェザーニュースLiVE』では、サポーター(視聴者)の皆さんからのリポートをリアルタイムで見たり、予報センターの「ナウキャスト」(雨雲の動き)を見たりしながら「あと何時間後に来そうだ」と予想しています。

――『ウェザーニュースLiVE』やSNSなどを駆使しながら自助しなきゃいけないですよね。その他、事前に予測できる方法はあるのでしょうか?

山口 我々は「ソラヨミ」と呼んでいるんですが、(インタビュー時にあった)あそこに雲がありますよね。現時点でまだ遠くにあるのでいいんですが、こちらに来ると、どんどん空が暗くなりますし、強い雨雲がかかってゲリラ豪雨になる可能性がある、という見方ができます。不安定を象徴する雲の出方ですね。

――現在まだお昼ですが、あの雲の真下は暗いんですか?

山口 暗いと思います。背が高く雲が厚いので、光も入っていないと思いますね。

――空を見上げて雲の流れを確認することも大事なんですね。