お笑い芸人・レインボーのジャンボたかおが書いた初の小説『説教男と不倫女と今日、旦那を殺す事にした女』(KADOKAWA)が2023年9月に発売され、話題を呼んでいる。本作は自身の経験を織り交ぜた、笑いあり、サスペンス要素ありのリアリティーあふれる作品。テンポのいい会話劇や独特な表現、キャラクターの立て方のうまさに、“作家”としての才能を感じさせる。

今回、ニュースクランチがジャンボたかおにインタビューを実施。ネタ作りと本を書くことの共通点や苦労した点、自身の好きな漫画から学んだことなど、幅広く語ってもらった。

▲ジャンボたかお(レインボー)【WANI BOOKS-NewsCrunch-Interview】

中村佑介さんに描いてもらった表紙が自慢

――まずはじめに、今回の出版に至った経緯を教えてください。

ジャンボたかお(以下、ジャンボ) コロナ禍に芸人界隈でnoteに文章を書くブームがあったんです。それで俺もやろうかなと思って……無許可で「藤田ニコルさんと自分が恋に落ちる」という設定の小説とかを書いていました。ニコルさんを勝手にキツいタバコを吸う設定にしたりして(笑)。そんな感じでnoteに自由に書いていたら、KADOKAWAさんが声をかけてくれたんです。

――noteにも男女の話を書かれていたみたいですが、今回の本も恋愛や不倫など、男女の話が出てきます。男女関係について書きたい気持ちが強かったんでしょうか?

ジャンボ 必然的にそうなったのかもしれないですね。昔、見ていたドラマも恋愛モノが多かったです。『やまとなでしこ』とか15回ぐらい見ましたし、何回でも泣けます。YouTubeでもコンビで男女の恋愛ネタをよくやっていたので、たぶん、男女の話が好きなんでしょうね。でも、今回の小説は恋愛がテーマというわけではないんです。

――ジャンボさん個人のYouTubeで、本を読んだお母さまが「天才だと思った」とおっしゃっていましたね。芸人さんからはどんな声が届いていますか。

ジャンボ 「面白かったよ」とめちゃくちゃ言ってもらいました。マユリカの​阪本さんとか、わざわざDMをくれて……反響はめっちゃありましたね。憧れのニューヨークさんが「マジですげえ」「マジで面白かった」と言ってくださったり、本の読み方を知らないバビロンのノリさんに「俺、人生で初めて一冊読めた」と言ってもらったり。

皆さん、それぞれに宣伝してくれたり、感想を言ってくれたりして、本当にうれしいです。それが重版につながったんだと思います。重版部数はだいぶ刻みましたけど(笑)。

▲芸人仲間からの反響に「本当にうれしい」と語る

――SNSを見ると、ジャンボさんが他の芸人さんにすごく慕われている、信頼されているのがよくわかります。作品が面白いのももちろんですが、それプラス「ジャンボのためなら」という気持ちがある人がたくさんいるんだなと。

ジャンボ 本当に感謝しかないです。「この人、絶対に小説とか読まないだろうな」って人まで買ってくれているんですよ。そういうのマジでうれしいです。

――イラストレーターの中村佑介さんが描かれた表紙もステキです。

ジャンボ これ、めっちゃいいっすよね! 本当に自慢です。中村さんには「全部読みきってからじゃないと描けないです」って言われたんですよ。できあがって“なるほどこういうことか!”と思いました。すごいっすね、才能がある人は。

ハプニングバーの話はほぼ実話です(笑)

――書き上げるのに、どのくらいの時間がかかりましたか?

ジャンボ 俺、サボりにサボってたんですよ。「この日はたくさん書いた。はい、じゃあ2週間休む」「この日は5時間書いた。はい、1か月休む」みたいに、勝手にスケジュールを決めるという書き方をしていました。でも、書いているときはずっと宿題がある感じで、気持ち的にはすごくツラかったです。“もうパチンコしながら書こうかな”とか思ってました(笑)。スマホのメモ帳で書いていたんですよ。

――全体的に書くのは楽しかったですか? ツラかったですか?

ジャンボ ツラかったこともありましたが、もちろん楽しかった部分も超ありました。やっぱり、会話劇はさらさら書けるんですよね。テンポのいい会話を書くのは楽しかったです。あとは、ただただ書きたかっただけの【ハプニングバーでオレンジデイズくらい青春している友人】。これは見事なまでに、友達の実話を書いているだけなんです(笑)。

――たしかに、固有名詞が多いなと感じました。

ジャンボ 「ハプニングバーのみんなでさ〜、この前、旅行に行ってさ」「気持ち悪いな、お前。行くなよ。じゃあ写真見せろよ」「写真は撮っちゃいけないルールなんだよ」「知らねーよ。気持ち悪いな、そのルール」とかって、会話まで全部、実話です。マジで。

――本を書くために勉強したこと、インプットしたことはありますか。

ジャンボ マジでひとつだけなんですけど、【ゆり】さんの話に出てくる人の殺し方については、一晩中ネットで調べました。……カッコつけて嘘ついたな俺。正直なところ、1時間ですね(笑)。ネットカフェに行って、1時間くらい調べただけです。そしたらね、人の殺し方が具体的に書かれた怖いスレッドが出てくるんですよ。今回、それだけ唯一インプットしました。

――第2弾、第3弾となったときには、どんなジャンルの本を書きたいですか?

ジャンボ 俺、日常が好きなんですよ。一番好きな漫画、『クッキングパパ』ですもん(笑)。心を揺さぶってこない、安定、安心する話が好きなんです。戦いとか、ちょっと疲れるじゃないですか。みんな幸せになる話がいいなと思います。でも、いったんは1冊目で出し切りました!