Yahooニュースにもなったあの事件の顛末
そして、本番オチ。
3人は「サントリー、ストロングゼロ!」と缶を取り出し、ためらいもなくプシューとフタを開け、当然のようにドボドボとこぼれていました。
お客さまの「ヒャアアア」という悲鳴で終わり、着ていた「老害マックス」とデカデカと書かれたTシャツで床を拭きました。
MCのはりけ~んずさんは睨んでたと思います。
運営の方々が飛んできて、僕らは平謝りしました。
すると運営さんは喜んでおり、「いつも盛り上げてくれてありがとうございます」と言ってくださってました。
そこで僕らは「失格すよね? 出禁すよね?」と冗談を交わし、「またよろしくお願いいたします」と会場を後にしました。
結果、「妖怪客ふやし」は1回戦突破、「老害マックス」は1回戦敗退でした。
私はXで「老害マックス、M-1史上初の失格、野沢ダイブ禁止出禁、理由はストロングゼロをブチまけたから」とポストしました。
すると、あれよあれよと拡散され、Yahoo!ニュースになってました。
私は、1人喜んでいました。
「名前を広めることができた、成功だ」
そう思い、次の日ライブ会場に行くと、私以外の老害マックスメンバー、芸人仲間、応援してくれてるお客さまが全員へこんでいました。
口をそろえて「としさん、やっちゃったね」「あ、炎上した人だ」言われまくりました。
そこで私は初めて気づいたのです。
「炎上は人を悲しませること」なのだと。
面白いを優先して全てを失う男
人間は2つに分けることができると思います。
「ベビーフェイス」(正義)か「ヒール」(悪役)か。〔編集注釈※プロレス用語です〕
私は後者。
だから、こういうことをしてしまうのです。
ただ、私の周り、いや世間は「ベビーフェイス」であることがすっかり抜けていました。
面白いを優先し、全てを失う男。
学生時代をちょっと思い出しました。
「お前がいなければクラスはまとまる」
クラスいや学年、先生、全員に嫌われていたあの時代。
私はどこかで感情がゼロになっていたのかも知れません。
嫌われ過ぎて自動的に感情が無になる、それは生きていくための本能と言わざるを得ません。
私のところにもたくさんのメッセージが届いていました。
「見てないので程度は判らないですが(じゃあ、書くなよ)、漫才の舞台上で飲み物をぶちまけて「面白いだろう」と考える感性の人が面白いものを生み出せるはずないですもんね」
「面白いかどうかは見てみないとわからんが(じゃあ、書くなよ)、それ以前に他の出演者の障害になりかねない行いをしている時点で失格は妥当」
「舞台は見てないし、憶測の話でしかないのだけど(じゃあ、書くなよ)、舞台上で悪ふざけして、ダダ滑りして、二度と来るなと怒られたんだと思う、いい年齢したおっさん連中が。人を楽しませることに向いてないけど、頑張って」
こんなのが山のように押し寄せてくれば、確かに悲しくなりますよね。
人によっては辞めてしまうかもしれない。
ただただ、私は無の感情でこのコメントをスクショしておりました。
そして、またネタを作り、舞台に立っております。
でも、周りのあの悲しい顔を忘れてはいけません。
笑顔にしなくてはいけないのに。
そういう意味では、本当に申し訳ありませんでした。
これが、今年起きた44歳のおじさん炎上の事の顛末でした。
次は良い話題を提供できるよう、頑張ります。
おしまい