お笑いコンビ、ランジャタイの伊藤幸司が、2021年6月からWEBメディア「JASON RODMAN(現Project2)」で担当していた連載コラムと新たな9編の書き下ろし作品をまとめた著書『激ヤバ』(KADOKAWA)を5月12日に発売した。

この本には、昨年ラストイヤーとなった『M-1グランプリ』に対しての熱い思いが書き下ろしで綴られているが、今年は『THE SECOND』に挑戦したランジャタイ。賞レースでチャンピオンを目指しつづける理由をニュースクランチ編集部がインタビュー。

▲伊藤幸司(ランジャタイ)

憧れの人であるオーケンさんに帯を依頼

――WEB連載では、伊藤さんのありのままの姿や、そのときの感情を率直に綴られている印象ですが、連載が決まったときの心境はいかがでしたか。

ランジャタイ 伊藤幸司(以下、伊藤)​ 僕にできるのかなと思いました。本が好きなので、作家さんは大尊敬していますから。

――普段はどんなジャンルの本を読まれるんですか。

伊藤 エッセイとかも読むんですけど、特に小説が好きです。そのなかでも、中島らもさんやオーケン(大槻ケンヂ)さんとかが大好きです。もともと、オーケンさんの作品が好きだったんですけど、オーケンさんが本を書くために中島さんの文章を書き起こしたっていうエピソードを知ってから、中島さんも読み始めて、ハマってしまいました。

――大槻さんは今回、帯を書いてくださいましたね。

伊藤 こんな荒い文章をオーケンさんに読んでもらっていいのかと思ったんですけど、一か八かでお願いしたら受けてくださって。本当にうれしかったですね。

――小説も書いてみたいという思いはないんですか?

伊藤 書いてみたことはないんですけど、めちゃくちゃ興味はあります。ぜひ、いつかやってみたいです。

▲小説執筆にも興味があるという

担当者も認める熱のこもった文章

――連載の初回は、POISON GIRL BANDさんとのお話でしたが、なぜこのエピソードを最初に書かれたんですか?

伊藤 そのときに一番強い思いがあったのがポイズンさんでした。他にもテーマの候補はいくつかあったんですけど、ポイズンさんのおかげで今があるなと思って。やっぱり、ポイズンさんにはめちゃくちゃ影響を受けているので、これを最初にしたいなと思い、この話を書きました。

――連載を続けていくなかで、テーマに悩むことはありましたか。

伊藤 何を書こうとか、詰まることはそんなになかったです。書き出してからも、わりとすぐ書けるという感じで。今も(『THE SECOND』について)自分の気持ちを書きたいですし。〔取材日はTHE SECONDノックアウトステージ16→8の翌々日に実施したため〕

――自分の気持ちを言葉で表現することに、あまり苦手意識はないと。

伊藤 どうですかね。でも、得意とかではないので……、今でも自分の文章はへたくそだなって思います。

――編集者の方が、伊藤さんの実力を認めているから書籍が出版されたと思いますけど。

伊藤 ……どうですか?

担当者 伊藤さんにしか書けない文体が何より魅力だと思っています。ランジャタイさんをよくご存知ではない方にも読んでほしい素晴らしい作品なので、そういった方にも読んでいただける一冊になるようにまとめつつ、伊藤さんにしかない良さが出るよう、元原稿をなるべく生かすかたちを取りました。

伊藤さんは表現力豊かで、ふとした一文でも光り輝くようなものがあるんですよ。センスがあるんですけど、それは小手先のテクニックという意味ではなくて、むしろテクニックで制御できないようなあふれ出る熱量もすごく良くて。ラストイヤーの『M-1』終了直後、伊藤さんから原稿が書かれたメールなどを立て続けに6通いただいたんです。

その原稿を読んだときに、本当に震えが止まりませんでした。まだ荒々しさもあって、渾身そのもので。あのときもらった伊藤さんの原稿の熱量と、心震えた体験は、この本の方向性をより固めるものになりました。そのときの2本の原稿が、表題作「激ヤバ」と、本書のラストにした原稿です。

伊藤 こう言われると、うれしいですね。恩返しするためにも売りたいです。100万部突破! みたいな奇跡の売れ方をしてほしいですね。そしたら、小説とかを書けるチャンスもあると思うので。

――国崎さんも今年、エッセイ『へんなの』(太田出版)を発売されましたが、そちらは読みましたか?

伊藤 読んでないですね。国ちゃんも僕のは読まないと思います。読んだとしても、読んでないフリをすると思います。

▲国崎の本は読まないと言うが、相方への信頼がそこかしこに伝わってきた