素朴な雰囲気を出せたら思って描いてます
――さめないさんの絵は暖かみがある印象なんですが、絵を描かれている環境を教えてください。
さめない:地元が福井県なんですけど、基本は家で描いてます。地元が田舎なので、のどかな雰囲気なんです。家の真横が海なんですよ。空も広くて、冬は雪で真っ白になるし、夏は浜辺で寝転んで流れ星を見たりとかしてるんです。
私の絵はカワイイ女の子がキラキラしているけど、のんびりしてるとか、暖かみがあると言っていただけることが多くて。私が住んでる環境の影響もあるのかなと思います。最近は都会的な女の子をよく描いてますが、私自身は素朴な雰囲気や田舎が好きなんです。そんな自分の性格とか地元の雰囲気とかが絵にも出てるのかなって。
――たしかに、最近の絵も都会的でもありますが、柔らかな暖かみが感じられる女の子たちですよね。そして女の子たちが着てる衣装も、すごくカワイイですよね!
さめない:ホントですか? いつもすっごく悩みながら“どうしよう……”と思ってるんです。メイクを考えるのは得意になってきたんですけど、服は頭を悩ませながら描いてます。色味も難しいんですけど、形はもっと難しいので、いろんな資料を参考にしながら、絵の雰囲気とか色味に合わせて髪飾りや衣装を頑張って考えてます。
――衣装はセンスが如実に出てくるところだと思うので、さめないさんはそのセンスも素晴らしいと思いますね。カワイイですし、どれも着たくなる服です。“この服、どこで売ってるんだろう?”って。
さめない:ちょっと不安に感じていたポイントなので、とてもうれしいです。顔をメインで描いているので、チラッと見える服で悩むことが多いです。“顔は邪魔したくないけど、カワイイ服を着せてあげたい”って。
――メイクも衣装も考えて、さらに髪型も考えて……トータルコーディネートですね。
さめない:そう言われてみると、たしかに全部やってますね。しかも、自分でポーズ取ってるからモデルまでやってる(笑)。
子どもの頃は10年間バレエをやってました
――イラストを描くときに使っているツールはどのようなものですか?
さめない:iPadでProcreateというソフトを使って描いてます。手書きのタッチが残っている絵が好きなので、鉛筆ブラシというのを多用して手書き感を出すようにしています。
――かなりアナログタッチですよね。水彩のにじみがあったり、線が残っていたり。デジタルだとバシッと決めてる人が多いと思いますが。
さめない:バシッと決めたときに、しっくりこなかったんです。ラフな雰囲気なほうが可愛く見えたんですよ。描き込めば描き込むほど、“さっきのほうが雰囲気あったかも……”ってことがよくあったんです。キレイさと暖かさの両立みたいなものを研究しながら描いている感じですね。
――スタイリッシュな衣装を着ていても、暖かみが感じられるギャップがまた良いと思います。アナログでも描いたりはするんですか?
さめない:SNSには載せていないのですが、最近、久しぶりに紙と鉛筆で絵を描いてます。スケッチブックに水彩画を描いたりもしました。iPadとは描く感覚が違って、リフレッシュにもなってます。やり直しがきかないところが刺激になりますね。練習したら仕事の絵も上達するんじゃないかな? という気持ちもあって、趣味としてアナログはやってます。
――さめないさんのアナログ絵すごく見たいですね!
さめない:チラッとインスタのストーリーにあげたことはありますけど、他には載せてないですね。
――見たい人は多いと思いますよ。
さめない:載せようと思って描くと人の目を気にして描いちゃうところもあるので、趣味じゃなくなっちゃうかも……。すごい上手に描けたら載せますね(笑)。
――子どもの頃は、どんなお子さんだったんでしょうか?
さめない:子どもの頃は10年間バレエをやってました。高校で美術部に入ったときに、放課後にバレエがあるから部活に行けないってことがあったんです。顧問の先生に「絵のコンクールもあるから、どちらかに集中したほうがいい」って言われて。ちょうどバレエを始めて10年の節目の年だったし、バレリーナになるためにバレエを続けていたわけじゃないので、美術部を頑張ろうと思って、そこでバレエをやめました。
――バレエって指先まで意識して踊るんですよね。さめないさんの絵は、手がキレイだなと感じるので影響があるような気がします。
さめない:10年もやってたので、自分でも気づかないうちに何かしらは出てるかもしれないですね。
――『sweet特別編集 占いBOOK』(宝島社)の表紙イラストも手が印象的でした。
さめない:たしかに! あの手はバレエっぽいかもしれないですね。私がポーズ取ってモデルやってるので、バレエが役立ってるかもしれないです(笑)。
――今後やってみたいことはありますか?
さめない:個展をやってみたいです。いつも絵を見てくださってる皆さんに、会ってお礼をしたいですね。インスタだと海外から見てくれてる方もいるので、海外の方に向けて何かできたらなと思ってます。そのためにも、もっといっぱい練習して、自分が満足いく作品をたくさん描けたらなと思います。
(取材:山崎 淳)