日常にひそむ、ひっそりもんすたー「ひそもん」が話題のユニット・にせんちめんたる。カラーアクリル板を用いた平面らしさのある立体作品やイラストレーション、グッズを展開している。

こだわりを英語にするとSticking(スティッキング)。創作におけるスティッキングな部分を、新進気鋭のイラストレーターに聞いていく「イラストレーターのMy Sticking」。今回は、にせんちめんたるの「ひそもん」制作とアクリルカット担当する、よしのめんたるさんに、「ひそもん」発想の源、本の制作にまつわる話などを聞かせてもらいました。

ユニット結成のキッカケは“落書き”

――現在は主にどういった活動をされているのでしょうか?

よしの:アートイベントなどでアクリルで作ったグッズを売ったり、企業などから依頼されてイラストを描いたりしています。

――イラストとアクリル、どちらを先に始めたんですか?

よしの:始めたのはアクリルからです。通っていた大学にレーザー加工機があったので、アクリルの加工ができたんです。アクリルにしたいと思って落書きをして、それを元に作品を作りました。

――「にせんちめんたる」として、二人で活動していくキッカケはあったんでしょうか?

よしの:キッカケは落書きからですね。大学時代に私がしていた落書きを、一緒に活動しているなぐら(めんたる)が「それ面白いね!」と言ってくれて、それからイベントにも出てみたいと思ってアクリルを増産して、二人での活動が始まった感じです。

▲よしのさんの落書きをキッカケにアクリル制作がスタートした

――大学は芸術系だったんでしょうか?

よしの:いいえ、工学部のデザイン学科で空間デザインを勉強していました。空間デザインに興味があって、形や色が面白いものとかを作ってみたくて入りました。

――ちなみに「にせんちめんたる」というユニット名は、どこからつけたんですか?

よしの:恥ずかしいんですけど……大学時代に課題に追われて「センチメンタル~」って二人で言ってたんです。そこに二人組の“2”をつけて「にせんちめんたる」になりました。

生き物をデフォルメして「ひそもん」になる

――昨年10月に発売された『よくばりすぎ!いろいろアタマがよくなっちゃうぜいたくドリル』(小社刊)について聞かせてください。こちらのイラストを描くことになった経緯は?

よしの:商談会の「クリエイターEXPO」に出展していて、そこで「迷路に興味ありますか?」と編集の方にお声がけいただいたんです。それまでは「絵本とかに合いそうだね」とは言われていたんですけど、ストーリーが思いつかなかったんです。そうしたら、なぐらから「迷路ならストーリーはいらないから描いてみたら」って言われて、描いたものを持ってきていたんで、その場で「迷路描いてます」って見せたところ、お話が進んでいきました。

――本の作り方はどんな感じだったんでしょうか?

よしの:ラフをいただいて、それを元にイラストを描くという感じですね。「ここに木を描いてください」とか「ここに魚を置いてください」など指示をいただいて。そのなかに、140匹くらいいる「ひそもん」から雰囲気に合いそうなものを当てはめる、という形で作業しました。

――そんなにいるんですか!

よしの:そうなんです。お客さんから「こういうひそもんを描いてください」って言われるので、ちょっとずつ増えていってますね。

――ちなみに、最初の「ひそもん」ってどれですか?

よしの:「ウマ」です。これをなぐらが「いいね!」と言ってくれました。

――「ひそもん」は、どんなふうに発想していくんでしょうか? 現代の身近な生き物もいれば、絶滅してしまった生き物もいますが、選ぶ基準はあったりしますか?

よしの:元になる生き物がいて、それを崩してデフォルメして生まれていきます。選ぶ基準などは特になくて、図鑑を見たり、動物園に行って動物を見て、“面白そう”って思ったら描いてみる感じですね。

▲さまざまなひそもんたち