1993年に発足したJリーグ、そして1999年に誕生したJ2も着実な進歩を遂げています。そんなJ2の最大にして最高の見どころといえばJ1参入を賭けたプレーオフ。毎年さまざまなドラマが生まれる瞬間を、松井大輔選手の体験談も交えて振り返ってもらいました。
※本記事は、松井大輔:著『サッカー・J2論』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
大混戦になる短期決戦だから盛り上がる
J2発足からしばらくは上位2チームが、その後は上位3チームが自動昇格するシステムで運営されてきました。それと同じ数のチームがJ1から降格するわけで、昇格と降格はまさに天国と地獄。明暗がくっきり分かれます。2012年からはJ1昇格プレーオフという制度が導入され、これをきっかけにJ2は群雄割拠の時代に突入していきました。
1位と2位のチームは自動昇格し、3位から6位までのチームがポストシーズンを戦う。2000年代後半からプロ野球でもクライマックスシリーズでレギュラーシーズンの上位3球団が争うシステムとなり、今ではすっかり定着して盛り上がりを見せています。
長いシーズンを戦って順位を決めているわけで、プロ野球同様に上位チームにアドバンテージがあります。3位と6位、4位と5位が対戦して、上位チームは引き分けでも次のステージに勝ち進むことができるというわけです。
この施策によって、J2がさらに注目されるようになったのは間違いありません。J1と違う劇的なフィナーレを迎えることで、サッカーファンのみならず普段はサッカーに興味を持っていない人の関心も集められるようになりました。
というのも、この短期決戦が順当に収まるケースはとても少ないのです。
2012年から2018年までの7年間で、シーズン成績通り3位のチームが勝ち上がったのは2度。それと同じく6位のチームも2度プレーオフを制している結果を見ると、短期決戦ならではの難しさが伝わるでしょう。6位以内に入れば昇格の可能性があるとはいえ、プレーオフを制すのはとても難しいです。
J1から降格してきたチームが1年で復帰できない例も多く、J2全体のレベルが底上げされていることで毎年、大混戦になっています。ほとんどのチームに昇格のチャンスがある。それもJ2が持つ魅力のひとつです。