パニック障害はこうして治った(BABIのケース)
じつは私だけじゃなく、ゆきよも同じ時期に同じような病気で体調を壊していたんです。2人は違う病院に通っていたけど、「今日は◯◯病院へ行ってみた」とか「あそこの病院のほうがよかったよ」とか情報を共有していた。とにかく、2人でずっと励まし合っていたんです。
そんな27歳が終わる年の12月の年末に、ゆきよから「Hey! Say! JUMPのライブに行ってみない?」と誘われた。会場は東京ドーム。
その頃は一時的に退院はしていたけれど、ちょうど前日に発作を起こして病院に運ばれたばかり。そんな状況だったし、申し訳ないけれどHey! Say! JUMPの大ファンというわけでもなかったから、楽しめるだろうかと不安だった。ただ、その誘いは同じようにツラい思いをしている、ゆきよの優しさだったことは言うまでもありません。
なので、一応、行けそうかどうか想像してみた。
- 年末で人出が多いなか、ぎゅうぎゅうの電車で移動。
- 会場は5万人で埋め尽くされた東京ドーム。
- 爆音と歓声とフラッシュライト。
- 終演後にタクシーに乗りたいけど、空車がぜんぜんいない。
- 電車で帰るしかないけど、ドームの出口から駅までの人混み……。
などなど。
いやいやいや、絶対に無理じゃん!! 想像しただけで冷や汗が出たし、もし途中でパニックを起こして病院に運ばれたりでもしたら、いろんな人に迷惑をかけてしまう。てか、そんな私はカッコ悪いよ……。てか、誘ってくれたゆきよ、お前も体調悪いけど大丈夫なんか? 今回ばかりは、頼りにならないぞ。
さすがの私も慎重になった。ただ、あまりにも閉塞的な生活が続いていたこともあって、その状況を少し変えたい気持ちがったのも事実。たまには気晴らしがしたい、そんな小さな幸せを求めていた。とりあえず、行くだけ行ってみようかな。でも、もし少しでも異変を感じたら、すぐに帰ってこよう。そんな感じでゆきよと相談して、私たちは勇気を振り絞った。
電車を乗り継ぎ、なんとか東京ドームに到着した私とゆきよ。予想どおり、駅からすでに人混みで活気があふれかえっていた。
「あ、やっぱダメかも……」そう思いながらも、指定の席に移動。ステージが近く感じ、緊張が走る。開演まで少し時間があり待っているあいだ、カラダ中、冷や汗と緊張でパニック状態に。
「どうしよう、どうしよう、どうしよう……」
隣のゆきよを見てみる。
すると、ゆきよは「…………………………」
完全にお地蔵さま状態……。
誘ったお前がそんなんでどうする!?
心臓の鼓動がどんどん早くなって、過呼吸寸前に。
「ダメだ、帰ろう……やっぱり無理だ!!」そう思った瞬間、
「ドーーーーーーーーン!!!!!!!」
眩しすぎるライトと爆音。同時に、目の前のステージ上に目を向ける。
山田涼介くんがバババーーーーン! と登場!
光、音、会場のバイブス、今まで経験したことのない空気。すべてに包まれながら、目の前に現れた、キラッキラッの山田涼介くんの笑顔が私の目に侵入してくる!
その笑顔を見た瞬間、パニック障害が一気に吹っ飛んだ!!!(これマジ)
そこから怒涛のコンサートが続いていくも、冷や汗もかいてないし、呼吸も安定してるし、不安なんて一切ない。すごい破壊力!!! もちろん、コンサートは最後までしっかり堪能。
結果、帰りはパンパンの満員電車に乗って帰宅しました(笑)。