日本人メジャーリーガーの黄金期が到来しました(筆者は昨年からずっと唱えています)。日々、野球の歴史を塗り替えている大谷翔平選手は言うまでもなく、投手として史上最高契約を締結した山本由伸選手、新たにメジャー入りを決めた今永昇太選手、松井裕樹選手、上沢直之選手……など。
ここ数年で多くの日本人選手がアメリカンドリームを追って渡米しています。気がつけば、日本からメジャー挑戦中の戦士が13名にものぼっていますが、今回は各選手の所属チームにおける概況、そして各選手の求められる役割を簡単にご紹介できればと思います。
エースとしての活躍が期待される千賀滉大
【デトロイト・タイガーズ】チーム状況:チーム再建中
プレーオフから遠ざかっているチームから、ベテランスターのミゲル・カブレラが引退し、積極的な補強はせず過渡期に突入。2020年ドラフト総合1位指名スペンサー・トーケルソン選手(一塁手)、昨季ブレイクのライリー・グリーン選手(外野手)やケリー・カーペンター選手(指名打者)ら若手有望選手や、マイナーで成長中の有望株が台頭をすれば面白い存在にはなり得る。
前田健太 投手 求められる役割:ベテランとしてローテを牽引
エースのタリク・スクバル選手に次ぐ2番手として、若手中心のローテ(他は全員24~28歳)を安定させる要として起用が見込まれる。
【ボストン・レッドソックス】チーム状況:チーム再建中
オフシーズンに新編成責任者を迎え入れ、タイガースと同様、過渡期に突入。しかし、例年とは裏腹に大型補強はせず、昨季不調に陥ったベテランの復活や若手有望株の活躍によるサプライズコンテンドを期待する、一種の様子見モード中。
吉田正尚 選手 求められる役割:打つ、打つ、ひたすら打つ
今季は大半の試合でDH起用が見込まれ、昨季、懸念として挙げられた守備は封印となったなかで、とにかく打撃に集中し、打線の中核を担うことが期待される。日本で魅せた高いコンタクト率、選球眼、パワーを兼ね揃えた総合力をメジャーでも通用することを証明できるか。
【サンフランシスコ・ジャイアンツ】チーム状況:再建はしていないものの、プレーオフ進出を狙うには少し戦力不足な状態
大谷選手の勧誘時に話題にもなった、本拠地サンフランシスコの治安悪化問題により大物フリーエージェント獲得が難航をしてしまっている。
それでも、主砲不在の打線に要となる韓国から輸入のジャンホー・リー選手、守備マスターながら、近年は比較的打撃不振のマット・チャップマン選手、調子の波が著しく激しいホルヘ・ソレア選手、中継ぎから先発へ転向を試みるハイリスクハイリターン案件のジョーダン・ヒックス選手など、少し変わり種の選手が加入。エースのローガン・ウェブ選手を筆頭に、シーズン前の予想から下剋上を果たせるかが見どころ。
筒香嘉智 選手 求められる役割:掘り出し物ヒッター
マイナー契約での加入となっている点、守備が芳しくない点を踏まえると、打撃成績で良い数字を残さないとメジャー昇格は難しいものの、全体的にまだまだ打撃力が弱いチームなので食い込むチャンスはあるでしょう。……と考えていた矢先に故障で離脱をしてしまったため、回復のスピードに要注視。
【ニューヨーク・メッツ】チーム状況:2025年からの本格始動に向けた繋ぎの一年
2023年シーズン前に大金を叩いて大型補強をしたものの失敗に終わり、シーズン途中にトレード放出をした選手らの年俸負担が今季ものしかかっているため、今季は積極的な補強ができず。1年かけて若手の見極めや巧みなトレードなどで戦力を整え、来季こそ悲願の世界一を目指す。
千賀滉大 投手 求められる役割:メッツのエース
残念ながら右肩の怪我でしばらく離脱が見込まれているが、復帰後は圧巻な投球でローテーションを先導することが期待される。ルーキーイヤーの昨季は、レジェンドのジャスティン・バーランダー選手およびマックス・シャーザー選手がダブルエースとして君臨していたが、今や両選手とも退団(トレード放出)。重役が千賀選手に回ってきたが、どう応えるか。
藤浪晋太郎 投手 求められる役割:リリーフとしてフル稼働、あわよくば勝ちパターン入り
昨季は後半に改善したとはいえ、通年防御率が7.18、とメジャーで通用したとは言い難い結果となってしまった。しかし、平均球速98.4マイル(158km/h)のストレートが秘める可能性を買われ、マイナー契約ではなくメジャー契約を勝ち取った。メッツの賭けに応え、比較的安価(335万ドル)な中継ぎとして活躍をし、勝ちパターンの一角を担うことが期待される。