幼少期をアメリカで過ごし、アイドルグループ「SDN48」の元メンバーとしても活躍。2016年からはFMヨコハマの人気番組『Lovely Day♡』のラジオDJを務め、子育て世代から絶大な支持を得る、フリーアナウンサー・近藤さや香。

私生活でも“働く一児のママ”として奮闘する彼女が、その知性とラジオパーソナリティとしての経験を活かし、一年をかけて書き下ろした自身初のエッセイ集『助けがたくさん降り注ぐ しあわせ護心術』(小社刊)が3月23日に発売された。

「頑張っている方、疲れている方にぜひ読んでほしい」と話す“自分を解放する生き方”のヒントが満載の一冊。まさに、笑って泣ける痛快エッセイとなった本書についてインタビューをするため向かった先で、凛とした美しさを持ちながらも、飾らぬ笑顔の近藤さや香が出迎えてくれた――。

▲近藤さや香【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-Interview】

ただの「自分語り」ではない文章を心がけた

「ラジオのお仕事では、毎日さまざまな方との“はじめまして”があるんです。これは、とても贅沢なことですし、いつしか自分の心の中だけに留めておくのはもったいないと思うことが増えてきたんですね。もちろん、ラジオを聴いてくださっている方はご存知かと思いますが、自然と聴いていない方にも届けたい、と思うようになってきて。

そこで、“そうだ、やはり書き物だ!”と。そんな経緯で、今回のエッセイのお仕事をスタートさせたんです。わたしの宝物のような体験を、皆さまにも“お福分け”できたら……。そんな気持ちから生まれた一冊です。わたし自身、いつでも見返すことができますし、本当に頑張って書いた甲斐がありました。友人らには“知らなかった! こんなことに取り組んでいたの?”なんて驚かれましたけれど(笑)」

▲念願の初著書の発売に喜びの笑顔を見せてくれた

こうして出版されることになったという『しあわせ護心術』だが、特筆すべきことのひとつに、近藤の筆力の高さが挙げられる。なにげない日常の一コマが、エッセイスト阿川佐和子さながらの、ウィットに富んだ文章に落とし込まれているのだ。プレスリリースでは、自宅での執筆中の写真が公開され、話題を呼んだことも記憶に新しい。

「以前、新聞の連載を少し手がけたことがあるくらいで、何かをずっと書き続けてきたわけでも、もともと文章を書くことが得意だったわけでもないんです。強いて言うなら、本が好きなので、仕事の移動時間など、とにかく読み続けてきた経験が活きたのかもしれません。

とはいえ、個人的にはエッセイや、やわらかい恋愛小説よりも、ミステリーや、深町秋生先生の作品など、どちらかといえばハードボイルドな小説を好んで読むので、今回の本にはまったく活かされていないかもしれませんが(笑)。

だいたい1週間くらい“こんなことを書きたい”とテーマを絞っておいて、担当編集さんと相談しながら、小さな毎日の積み重ねを書き留めていった感じです。夏木マリさんをはじめ、本当にすごい方々に頂戴した言葉を、いかに『ただの自分語りではなく“心を護る=(護心術)”ためのヒントとして落とし込むか』を念頭に置いて書いていきました。ですから、執筆に関しては、いわば“日常のタイピング”といったところでしょうか。

そうそう、宣伝に使用する執筆中の写真を、近所の友人がわざわざ自宅まで来て撮ってくれたんです。でも、それがあまりにもオフな姿だったので、友人が“これで、本当にいいの?”と。担当編集さんのOKはもらえたのですが、社内ではちょっとザワついたらしくて。でも、あの写真のおかげで本当に書いていることが伝わったので、結果、よかったと思っています。

逆に、本の帯に使われている宣材写真は、昨年撮ったものにもかかわらず、FMヨコハマの社長からは“また、ウソの写真使って〜”なんて、よくいじられるんですよ(笑)」

▲子どもが寝たあと、飾らない姿で執筆作業をしていた