読書好きになったのは母の呪い!?
今でこそ稀代の読書家でもある彼女だが、驚くことに”あまり本を読まない子ども”だったという。アメリカでの幼少期と、影響を受けたという母親について。また、最近おすすめの本についても話してもらった。
「わたしは、母親にかけられた言葉って、ある意味では“呪い”だとも思っていて。母親のひと言って、子どもにとっては他の誰の言葉よりもずっと特別なものですから。わたしはアメリカにいた頃、マンガすら読むことなく、外で遊んでばかりいる子どもだったので、母親からはいつも“本を読みなさい”と言われていたんですね。まさに、“本を読まない子ども”ですから、母はわたしが小学校高学年になるまで読み聞かせをしてくれていたんです。
そんななかで、わたしに本を読む体力や、ある意味での思考力がついたタイミングを見計らって、母はわたしに、なんと『レベル7』(著:宮部みゆき / 新潮社)を渡してくれて。“きっと、この子はミステリーが好きだろう”と思ったのでしょうね。ものすごいスピードで読み進める姿を見て、こんどは『家族百景』(著:筒井康隆 / 新潮社)を渡してくれた(笑)。ミステリーが好きになったのも、そんな母の呪い、否、蒔いてくれた“種”によるものかもしれません。今では母親に感謝しています。
最近では、そんな母親がかつて読み聞かせをしてくれた『窓ぎわのトットちゃん』(著:黒柳徹子 / 講談社文庫)を読み直したばかり。現在では、わたしが母親として読み聞かせをしているわけですが、毎週、図書館に行って、子どもと2時間くらい過ごしています。
子どもに読んだ本で心に残っているのは、『落語絵本』シリーズ(著:川端誠 / クレヨンハウス)。落語ってテンポやリズムが大切なので、読み聞かせるのも難しい。でも、それぞれの話にオチも教訓もあって、わたし自身、学ぶものが大きいんです。子どもに聞かれて答えられないほど深いオチもあるくらい。でも、そういうときは“一緒に調べようね”とネットで調べることで、子どもとの共同作業になりますから、逆に、深い読書体験になるんですよ。
大人向けなら、ママ友から教えてもらった『本日は、お日柄もよく』(著:原田マハ / 徳間書店)がおすすめ。育児や仕事で張り詰めた力がふっと抜けて、息抜きになるんです。こころが穏やかになれます」
コミュニケーション能力をUPするテクニック
すっかりFMヨコハマの“朝の顔”、ラジオDJとしての地位を確立した近藤さや香。SDN48時代からずっと目指してきた本職について、ラジオDJを目指す“原点”とはなんだったのだろうか。また、彼女が今後目指す姿についても聞いてみた。
「わたしはアメリカで育っているので、ラジオのルーツはそれこそ、あの黄色いスクールバスなんです。車内では、ドライバーさんが地域の人気番組をずっと流しているのですが、それを聴いて育ったことが、振り返れば原体験となったように思います。
いま、実際にわたしがラジオパーソナリティとして活動していくなかで心がけているのは、とにかくゲストの方々に“楽しかった”“喋りやすかった”、そして“また来たい!”と言ってくださるような居場所づくり。これをなにより大切にしています。
もちろん、わたし自身もレベルアップしていく必要がありますから、本当に毎日の積み重ねですね。地道な積み重ねがあってこそだと思っています。とはいえ、ただレベルアップすればいいというわけではなくて、成長していくうえで絶対に忘れてはいけないことが、先ほどお話した“楽しかった”“喋りやすかった”“また来たい!”という3つの言葉(感想)だと思っているんです」
ゲストから、その3つの言葉を引き出すのも“コミュ力のプロ”である、ラジオパーソナリティとしての力があってこそ。では、その“コミュニケーション能力”について、彼女は、いったいどんな考えを持っているのだろう。
「大学時代から仲の良いネイリストの友人がいるのですが、彼女は周囲からもっぱら“コミュ力が高い”と言われているんですね。そこで、あらためて彼女のコミュニケーション能力の高さの理由について考えてみると、とにかく“聞く力”があるということ。さらに言えば“スルー力”なんです。
彼女はネイリストですから、お客さまの話を、それが楽しかろうがつまらなかろうが、ずっと何時間も聞き続ける。つまり、極端に言えば“イヤではないが、とくに楽しくもない話”であっても、彼女は時に傾聴し、時にスルーしながら、聞いてあげるんですよ。彼女いわく“だって、お客さまはしゃべりに来ているじゃない?”と。
だからこそ、必ずしも共感することだけがコミュニケーションとは言えないかも、と思うようになりました。本には“コミュ力って目立たないこと”“全体と調和できること”と書いていますが、つまるところ“聞く力=相手に共感すること”という単純なことではない、と考えているんです。これは、その友人から教わったことですね。
そんなネイリストの彼女と一緒にいると、いつもわたしばかりが喋っていて、やはり彼女は聞くことに徹している(笑)。やっぱり、スルー力含めて“聞き上手”なんですよ。ですから、皆さんも周りを見渡してみて“あの人、聞き上手だな”“あの人のコミュニケーションに憧れる”といった、いわばロールモデルとなる人を見つけて、できればその人の良いところをマネしてみることが、良いテクニックにつながるかもしれません」