好きなものが同じ人が集まるコミュニティを作りたい

昨年11月に発売された書籍『アデリアレトロのペーパーBOOK ラッピング・紙小物・空き箱活用アイデア付き!』(小社刊)には、当時を知る世代には懐かしく、若い世代には新鮮に映る、昭和の雰囲気を再現したデザインペーパーが収録されている。

「担当編集の方と最初に打ち合わせをしたときに、“アデリアレトロはみんなで作る”っていう裏コンセプトを大事にしようとなりまして。 今までもSNSを使ってファンの方々と新しい柄を決めたりしてきたので、同じようにみんなで作れる要素が本にもあったらうれしいなと思ったんです。

そうお伝えさせていただいたところ、編集の方がアイデアを出してくださって、アデリアレトロのパッケージデザインコンテストを開いたんです。そこで入賞した人の作品を実際に本に掲載させていただきました。皆さんも喜んでくださったし、私自身も皆さんのアイデアが本に掲載されてうれしかったです。

レトロ好きな人が世の中にたくさんいるんだって、このシリーズを出して改めて知りました。皆さんから“いつもステキな商品をありがとうございます!”って、お礼を言われるんですよ。このシリーズに携わるまで感じたことがなかった“これが物を売るということなんだ!”って、すごく勉強させていただいています」

アデリアレトロのSNSを見ると、ファンの方と「◯◯さん」と呼び合いながら交流しており、売る側も買う側も顔が見えていることがよくわかる。人として1対1で関われるところも魅力なのだろう。

「私がSNSで露出しているからっていうのも大きいんですけど、本当に人として見てくださっているなと感じます。去年、出産したんですけど、そのタイミングでファンの方々がお祝いをしてくださって……もう売り手と買い手を超越していますよね。本当にありがたいです」

▲出産した桐本さん宛にファンからのお祝いがたくさん届いた(本人提供写真)

この3月からは西武園ゆうえんちとのコラボ、アデリア×西武園ゆうえんち「アデリアレトロフェスタが開催されている。

アデリアレトロの世界を空間とフードで“体験”できる「軽食・売店 ミルクホール」や、西武園ゆうえんち限定柄グラスが持ち帰れる「アデリア×西武園ゆうえんち スーベニアグラス付きソフトクリイムソーダ」などのコラボメニューもある。このコラボはどのような経緯でスタートしたのだろうか。

「日経トレンディの『2021年ヒット商品ベスト30』で、昭和・平成レトロブームが4位にランクインして、西武園ゆうえんちさんとアデリアレトロが代表として表彰されたんです。そこでのつながりがあって、去年、改めて西武園ゆうえんちさんから“一緒にやりませんか?”とお声がけいただきました。

西武園ゆうえんちさんは、限定メニューの開発にも取り組んでくださったり、園内にある飲食店の装飾をアデリアレトロで埋め尽くしてくださったり、企画書を拝見した段階で、“こんなに世界観を作り込んでくださるんだ!”ってすごく感動しました。たくさんのレトロ好きな方に届く、ありがたい機会だと思っています」

最後に、アデリアレトロの今後の展開を聞いた。

「会社としては、アデリアレトロのシリーズを安定させていきたいというのがあります。ブームで終わるんじゃなく、会社の代表作として長く親しまれるようにしていきたいです。私個人としては、コミュニティを作りたいと思っています。 去年、初めてファンミーティングを開いたんですけど、そのときに集まった20人の方々が、会った瞬間に仲良くなっていたんですよ。

好きなものが一緒の人が集まったら、ほんの数分でこんなことになっちゃうんだ! じゃあ、もっとこの輪を大きくしていったら、すごいことができそうだなって。ファン同士をもっとつなげていくために、SNSにとどまらずリアルのイベントとかもしたいと考えています」

(取材:萌映)