中学生のときだったら大事件ですね
――さまざまなキャラクターで「あるある」動画を作っていますが、何か共通して意識していることはありますか?
卓也:「陰キャ・陽キャ」みたいなマイナス表現はしないようにしてます。それこそ岡林君も「陰キャ」と言われるようなタイプだと思うんですけど、「しゃべるときにすごく早口になるヤツ」みたいにマイナスな言葉は使わず、おもしろい部分にスポットを当てています。とにかく学生時代の楽しかった記憶だけを切り取って出したいんですよ。
――だから、どんな視聴者も楽しむことができるんですね。みそくろさんは学生時代を題材とした作品を描くうえで大切にしていることはありますか?
みそくろ:私は言語化できない、よくわからない感情も描くことを大切にしています。なんだかわからないけど、ドキドキするみたいな感情も味わってほしいなと。
卓也:たしかに、『思春期姉弟』で描かれている、あのときの感情はなんて説明していいかわかんないですもんね。
みそくろ:陽介が望月さんに抱いた感情って、言っちゃえばフェチなんですけど、フェチに目覚めたときって、自分でもよくわからないじゃないですか。そのときにしかない新鮮さというか。
卓也:そうですよね。僕も中学生のとき、ムラっとするものというか、なんでそれに興奮しているのかわからなかったですね。なんで興奮してるんだ? 俺はこれが好きなのか? 俺って変なのか? みたいな(笑)。
みそくろ:そういう性に対する感情って教わる機会がないから、初めて自分の中に芽生えたときは、その正体がわからず不安ですよね。
卓也:そうですね。本当に読んでいて、いろいろ思い出しました……。逆に読まなかったら、こんな感情になってたことさえ忘れてたと思います。陽介みたいに中学1~2年生の頃は、本当にちょっとしたことで顔真っ赤にしてましたよ(笑)。
みそくろ:そうだったんですね。
卓也:あと、マジで俺もパンツを何回も洗いました。夢精って生理現象ですけど、親にも言えないから自分で洗うしかなくて。だから、初めて夢精したシーンは懐かしいんですけど、エモいとかではなく、あのときの感情のまま恥ずかしくなりました。遅かれ早かれ、みんな経験していると思うので、男子は読んで思い出してほしいですね。
みそくろ:共感してもらえてうれしいです。陽介の描写は私自身も迷いながら描いてるので。
卓也:男の子のああいうシーンは、どうやって描いてるんですか?
みそくろ:男性の意見を参考にしています。描いたあとも、「ちょっとこれ、男からしても下品すぎるかも」とか意見をもらったりしながら、すり合わせていくこともあります。
卓也:だからあんなにリアルなんですね。あと、最初の手がお尻に触れちゃうところ! 今だったらマジどうってことない、ただのアクシデントだけど、中学生のときだったら大事件だと思うんですよ。それを機に意識し始めちゃう感じとかね……。
みそくろ:大人になるとなんてことないようなことでも、このくらいの年頃だと一喜一憂しますからね。