相手ゴール前5mで放ったすがやのシュートは…
さて、試合が始まって数分で、すがやはあることに気づきます。あれ? 相手、上手い人が増えてない? そうです。去年は確実にいなかっためちゃくちゃ上手い選手が相手に増えているのです。人事部はサッカー能力も考慮してるんですか…?
特に右サイドハーフで出場した僕のサイド、相手左サイドハーフがめちゃくちゃ上手いのです。他の方も上手いけど、特に須藤アナとこの方は、どんなに頑張ってディフェンスしても体にすれ触れられないです。
背筋を伸ばしてゆったりドリブルしているように見えるのに、体をぶつけることもできずスルスルと抜かれるすがや。ドイツ代表のムシアラとマッチアップしているみたい。
しかし、ここで我がチームに地味な奇跡が起こります。お互い名前も知らない即席チームであるにも関わらずですよ。
打ち合わせもせず、2010年南アフリカW杯のときの日本代表の戦い方を全員が選択しました。全員がハードワークをして必死で守る。僕も逆サイドハーフの方も、あのときの大久保嘉人さん、松井大輔さんくらいアップダウンしました。
遊びのサッカーの即席チームで、全員がそれを徹底することなんて普通ありえません。ですが、相手の強さを見て、そうしようと各々が全く同じ決断をしたのでした。静岡のサッカーIQの高さよ。
幾度もピンチを作りますが、最後はやらせない。そして、そこで気づきます。
「相手、ヘディング得意な選手いないな」
我々は執拗にコーナーに逃げました。町田ゼルビアくらい勝つための最善を見つけ出して前半を凌ぎ切りました。
一方、攻撃は2週前はドリブラーだったうちの若者たちが、守備で疲れてるからか球離れよく、シンプルなパス交換を繰り返して何度か敵陣へ。僕もなぜが調子が良く、パスミスはほとんどありません。
しかし、どんなシュートも全てキーパーががっちりキャッチ。こんなにキャッチされたら全部のこぼれ球をダッシュで詰めている僕が可哀想です。スタミナだけは自信がある僕ですが、前半20分くらいで目がチカチカします。
後半、さすがに足が止まり始めます。そして、ついに守備が決壊。セットプレーの流れからクロスボールをヘディングで押し込まれます。まだ10分あるのにドーハの悲劇くらい倒れ込むSBSチーム。
なんせ、マンチェスター・シティとやってるのかってくらい支配されてるうえに、相手キーパーはこの前までJリーガー。
どうにか気力を奮い立たせて試合を再開させると、我々にも徐々にチャンスが。ここまで相手よりかなり走ってたと思うのですが、それでもこの時間帯、運動量が多いのはこっちでした。
そして、左サイド高い位置にボールが入ると、バックパスからアーリークロス。例によって、自陣右サイドから70mくらいダッシュしてゴール前に飛び込んだ岡崎慎司選手リスペクト芸人のすがや、の頭上を超えるボール。
しかし僕が中に入ったぶん、中盤の選手がファーに飛び込んでいました。トラップ、ずらしてシュート! と鮮やかにゴールを襲います! しかし、さすがのキーパースーパーセーブ!!
……弾いたボール、その先にいたのは、僕でした。
必殺! ゴールまで5m以内シュート!! 総力戦で、みんなでついにゴールを破りました!! それはそれは即席チームとは思えないくらい、みんなで喜び合いました。
「あれ? 今日って高校選手権だっけ」
ってくらい、みんなが喜んでました。
みんなが僕じゃなくて、その前に鋭いシュート打った人のところに労いに行ってたことはちょっと引っかかったけど、とにかく最高の気分です!
これは、いける!!
その後、ピンチが訪れても相手が3~4人で攻めてくるのに対し、こっちは8人がダッシュでゴール前に戻る。
めちゃくちゃしんどいけど、ここ数年のサッカーで一番楽しい!!!
ラスト数分、須藤アナがこちらの疲弊した中盤にプレスをかけると、ボールを奪い、そこからセンターバック2枚のあいだに突っ込むと、最後は弾丸のようなシュートをゴール左上に突き刺し、ジ・エンド。
残酷ではあるけど、漫画みたいな結末でした。
まあでも、それもいいでしょう。来年も参加させてもらう理由ができました。
その後に行った温泉施設でも、味方の良かったプレーをずっと褒め合い、枝豆の家に帰ってからも寝るまで
「逆にどうやったら勝ち筋あったと思う?」
と、話し合いながら、答えは見つけられず寝落ちしました。
どこを変えても勝てるとは思えないくらい強い相手だったけど、やっぱり上手い人とやるサッカーは最高に面白い!!