“毛布を纏った霊柩車”という強烈なインパクトを放つ作品「神宮寺宮型八棟造」を発表し、「第18回岡本太郎現代芸術賞」特別賞を受賞したことで一躍注目を集めた江頭誠さん。彼は、毛布の柄も生かしながら、木彫りの熊、招き猫、盆栽、掛け軸……、いろんなものを毛布で覆い、見たこともない作品を作り出している。

ミュージシャンのMVやGUCCIのショートフィルム「Kaguya by Gucci」にアートワークで参加するなど、メディアで作品を目にする機会も増えている。今回、アーティストでもあり俳優でもある高野洸さんとの対談のために、江頭さんが持参してくださったたくさんの毛布作品を拝見しながら、創作の裏側やマインドなど、お話を伺った。

美大の彫刻科を目指したきっかけ

高野:多摩美の彫刻科を目指されたのは、彫刻を仕事にしたいと思って行かれたんですか?

江頭:高校2年生ぐらいのときに美術大学の存在を初めて知ってから美大を目指したのですが、絵と立体とデザインに分かれていることを知らなかったんです。美術予備校に通わないと入れないという話も聞いていたので、予備校に行ったら担当が彫刻の先生で、「君は彫刻向いてるよ」と言われました。

先生にうまくスカウトされて、“僕は、彫刻向いてるかもな”って勘違いかもしれないけど、そこから彫刻を目指すようになりました。僕は、三重出身なんですけど、東京への憧れが強くて東京の大学を目指していたんですが、倍率が高くて浪人をして、ようやく多摩美に入って彫刻を4年間学びました。

高野:今でも彫刻はやられますか?

江頭:そうですね、立体物を作ったりはします。昔、全長5メートルくらいの霊柩車の大きい作品を作ったんですけど、本物じゃなくて発泡スチロールを削って1から作ったんです。

高野:すごいですね! どのくらい時間がかかったんですか。

江頭:大学出て5年間ぐらい普通に仕事をしていたので、週に2回ぐらいしか制作時間がなくて、半年以上かかりました。でも、それが楽しかったし、これで賞を取って、会社を辞めるぞって気持ちでしたね。

高野:これはすごいですよ。本当にすごい。半年っていうのもすごいですね。これは、実寸サイズですか?

江頭:実寸ですね、奥から手前まで5メートルぐらいで、高さ3.5メートルぐらいです。

高野:うわー、欲しい!

――欲しい⁉

高野:入れるところないですけど(笑)。作る場所も大変ですよね?

江頭:大学を出てから友達と4人ぐらいでシェアアトリエ兼倉庫として借りていたんですけど、全然使ってなかったんです。だから、せっかくだしと思って、めっちゃ広く使って今も制作続けてる感じですね。これがきっかけになったかなと思います。

――なぜ霊柩車だったんですか?

江頭:霊柩車の形がすごく好きなんですけど、正直変じゃないですか。下は洋式でリンカーンみたいなものなのに、神社の屋根みたいなのが付いている。普通、日本人にとっては普通だと思うんですけど、すごく違和感があるものではあるので、それはモチーフとしてずっと気になっていたというのと、毛布もよく見るとこんなに日本に普及しているのにめっちゃロココ調ですごく違和感というか。組み合わせてみたら面白いかなと作ってみました。実際に人も入れるようになっています。

高野:すごい! ドアが開くんですね。

江頭:作った当時は開かなかったんですけど、後で撮影で使うときに、人が入りたいからということでドアを切って、人が入れるようになりました。

高野:毛布を何枚も使っているわけですよね。繋ぎ目とかはどうしているんですか?

江頭:基本的に花柄で切って繋いでいるので、よく見るとパッチワークみたいな感じで繋がっています。

高野:やっぱりそのままは無理ですか。この湾曲とか。

江頭:そうですね。立体物に貼るとどうしても切れ目を入れないとカーブできないので、花柄とか葉っぱに沿って切らないと柄が不自然に見えてしまうので、花に沿って切ったりしていますね。